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ジュンク堂書店 書店員レビュー一覧

ジュンク堂書店 書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示

書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

星か獣になる季節 (ちくま文庫)最果タヒ (著)

星か獣になる季節(ちくま文庫)

あなたがすきです、と伝えたい

大ファンだった地下アイドルに降って湧いた殺人疑惑。
教室でのカースト下位の「ぼく」とだれからも人気がある「森下」は、彼女が犯人でいいわけがないという想いを共有する同士となった。
「ぼくにとってかわいかったのはきみだけだ」
そのあまりにも真っ白な偽りのない心は、ひたすらにまばゆく、正しさや常識よりも狂気こそが日常然としていて、他者はそこに立ち入ることができない。
誰もがどうなってもおかしくない17歳という時。
そこで獣になったひとがいる。
そして星になったひとがいる。
その世界は怖いくらいに澄み切っている。
それらに関わってしまった第三者たちは、頭をかかえ、苦しみ、もんどりうちながら、彼らを置いて大人になっていくしかないのだろう。

書店員:「ジュンク堂書店ロフト名古屋店」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|ロフト名古屋店

世界の断崖おどろきの絶景建築 パイインターナショナル (編著)

世界の断崖おどろきの絶景建築

断崖×絶景建築

おどろきの絶景建築、と聞いて何を想像するだろうか。
ライトアップされた塔、色鮮やかな家々がある町、歴史ある博物館や図書館、紅葉に囲まれる神社仏閣、美しい国内外の城や砦、城下町…例に挙げたらきりがないだろう。
そこに「断崖」とついたら、どうなるだろうか。
本書は「どうしてこんな所に建てたのか?」と首をかしげてしまうような、世界の断崖に建てられた建築を紹介している。恐怖だけではなく、美しさも兼ね備えて。
戦乱の世を逃れ神への道を求めて作られたギリシャにある岩の上に建つ修道院群。
イタリアのカタールに森の中から突き出た岬のような断崖に建つ崖上都市。崩落の危険性から一度は住人の撤退が余儀なくされたが、移り住むようになった芸術家やヒッピーたちにより再び町が蘇る。
ウクライナのクリミア半島南端近くに建つスワローズ・ネスト(通称「ツバメの巣」城)。黒海に切り立つ断崖にドイツ人貴族によって建てられた小さき城は何度もの地震に遭いながらも修復と補修を重ねて人々を惹きつけている。
どういう目的で建てられたのか、誰がどのように住んでいたのか…
頭をフル回転にして想像力をかきたて世界を巡ろう!

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

同時通訳はやめられない (平凡社新書)袖川 裕美 (著)

同時通訳はやめられない(平凡社新書)

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

海外からのニュースの中継などでおなじみの同時通訳。外国の言葉を聞いて一瞬のうちに日本語に変換するプロフェッショナルの脳はどうなっているのだろう?と思ったことは少なからずあるのではないだろうか。
放送や会議など、現場の第一線で活躍してきた著者の体験談は、もし自分がその場にいたら…と想像して読んでいるだけで変な汗が出て来る。それほど通訳というのは責任の重い仕事だ。この本を読んでから同時通訳の放送などを聞くと、今までとは一味違って聞こえるだろう。
また、国際社会の最前線に立つ同時通訳者には、日本はどのように見えているのか。第2章は、外国の要人や著名人の通訳を務めた経験や、世界で活躍する日本人の使う英語を通じて、これから我々がどのように言語と付き合うか、を考えるための参考になる。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

ナルニア国物語 1 魔術師のおい (光文社古典新訳文庫)C.S.ルイス (著)

ナルニア国物語 1 魔術師のおい(光文社古典新訳文庫)

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

ファンタジーの傑作『ナルニア国物語』の新訳刊行が開始された。現在発行されている岩波書店版は原著の刊行順に並べられているが、この新訳版は物語の時系列に沿って刊行されるので、1巻目はナルニア国が誕生する「魔術師のおい」となるのである。著者自身がこの順で7巻の作品が読まれることを希望し、欧米での出版はこの時系列順の刊行が標準となっていることから、この形が採用された。
訳文は、もともと児童文学である本作を、幅広く大人も楽しめて読みやすい文章になっている。振り仮名は小学校4年生以降の漢字にふられている。読んだことのある人には新しい発見、初めて読む人には主人公の冒険にわくわくしながらページをめくることになるだろう。
二巻「ライオンと魔女と衣装だんす」は2016年12月、以下全7巻を順次刊行予定。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

サイボーグ化する動物たち ペットのクローンから昆虫のドローンまで エミリー・アンテス (著)

サイボーグ化する動物たち ペットのクローンから昆虫のドローンまで

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

ヒツジのドリーが生まれたのは今から10年前の7月。クローン技術や遺伝子工学に対する世間の風当たりは依然強いままだ。しかし科学は常に進歩する。愛するペットは何度も生き返り、ニワトリは薬の卵を量産し、甲虫はスパイ活動への第一歩を踏み出した。
本書は、現代科学が生み出す“改造動物”の最前線を紹介しつつ、動物の福祉と科学の発展の関係を正面から見つめる。科学技術はただの技術で、善も悪もない。遺伝子操作で盲目のマウスを作るのが人間ならば、絶滅危惧種をクローン技術で救うのも人間である。動物の未来のため、私たち人間は一体何ができるのだろうか。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

20世紀の思想から考える、これからの都市・建築 横浜国立大学大学院 建築都市スクールY−GSA (編)

20世紀の思想から考える、これからの都市・建築

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

都市・建築における批評の可能性を、20世紀に活躍した6人の建築思想家を読み解くことで摸索する。このような試みは、「場のちから」を喪失した建築の冬の時代(内藤廣)にこそ必然性を持つ。資本主義しかない世界では、都市・建築においてこそ、それ以外のやり方を思考しておくことが必要で、それは生きていくための基盤である「ローカル」を持つということである。しかし格差社会の広がりは、スラム街やゴーストタウンの拡大を見ずとも瞭然であり、都市構想の段階から「場」を組み込むという試みは、成功してはいない。「資本主義しかない世界」に抗し得る「ローカル」とは、松本哉のような「マヌケ」による「場」の形成のちから(『世界マヌケ反乱の手引書』筑摩書房)と、批判的地域主義(ケネス・フランプトン)やパタン・ランゲージ(クリストファー・アレグザンダー)などの活用による都市形成が合わさった「場」に生じるのである。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた アランナ・コリン (著)

あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

あなたの体のうち、ヒトの部分は10パーセントしかない」と言われても実感はないが、ヒトは生まれた日から死ぬ日まで、アフリカゾウ5頭分の重量に匹敵する微生物の「宿主」となっている。
マイクロバイオータと呼ばれる100兆個の共生微生物はヒトの健康を左右し、バランスが崩れると肥満やアレルギー、自己免疫疾患、心の病気などを引き起こすこともある。では、マイクロバイオータのゲノム集合体=マイクロバイオームの解析によって、これらの病気を効果的に治療することができるのだろうか。微生物生態系を修復するという試みはまだ新しい分野で先行きは不透明とのことだが、病気の根本原因に迫る研究のさらなる発展を期待したい。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

親子で学ぶ音楽図鑑 基礎からわかるビジュアルガイド キャロル・ヴォーダマン (ほか著)

親子で学ぶ音楽図鑑 基礎からわかるビジュアルガイド

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

大人気シリーズ、創元社の「親子で学ぶ図鑑」数学、科学、英語に続いて音楽が今夏発売された。取り上げられているテーマは音楽の歴史から音階、対位法、楽器など多岐にわたる。
子どもにとっては難しいのでは?と思われるテーマを扱っているが、カラフルな図版を多用し、目で見て楽しめる図鑑にしたことで最後まで飽きさせることなく学習することができる。
もちろん大人の方が読んでも十分読み応えがあるので、一家に一冊あると、あらゆる世代で楽しむことが可能だ。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

芹沢銈介・装幀の仕事 芹沢 銈介 (作)

芹沢銈介・装幀の仕事

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

素敵な装幀の書籍を見かけて、つい「ジャケ買い」をしてしまった経験がある方も多いのではないだろうか。本書は、20世紀日本を代表する染色工藝家であり画家でもあった芹沢けい介さんが手がけた、装幀家としての仕事を紹介している。
 染色の技法である「型絵染」という手法を用いて創作した、彩鮮やかで、味わい深い作品の数々。50年以上前に制作されたモダンなデザインは、もはや素敵としか言いようがない。
 雑誌「工藝」をはじめ、数々の文藝作品を手掛けた芹沢けい介さんの仕事を知ることのできる一冊となっている。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

ボリス絵日記 ヒグチユウコ (著)

ボリス絵日記

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

大人気イラストレーターであるヒグチユウコさんが、ツイッターで不定期連載をしているマンガ「ヒグチユウコ絵日記」をまとめた一冊。ヒグチユウコさんの愛猫ボリスをはじめ、ぼっちゃん、ニャンコ、コトリなどなど、個性豊かなキャラクターたちが繰り広げるユーモラスな世界。シュールで、ちょっとだけブラック。けれども時々ハートフルなお話には、読んでいて全く飽きが来ない。
 ツイッターに連載されたものに大幅な修正を加えているので、今までツイッターで読んでいた方にとっても、新鮮な気持ちで楽しめる内容となっている。
 今までヒグチユウコさんのイラストしか見たことのなかった方にとっては、ある意味衝撃的な一冊となっているかもしれない。独特の世界観あふれるボリスの「日常」を覗き見てはいかがだろうか。
今夏は本書を含め四社から四点(限定版を含めると五点)ヒグチユウコさんの作品集が刊行されたので、併せてどうぞ。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

シンマイ! 浜口 倫太郎 (著)

シンマイ!

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

気に喰わない上司を背負い投げして無職となった翔太が、新潟の気難しい祖父・喜一から米作りを教わることになる。
毎朝5時に田んぼをじっと注視するだけで何も教えてくれようとしない祖父にやきもきするが、あるきっかけで喜一の米を味わい、感動して米作りに目覚める。勝気な新米農家の里見や、気障な兼業農家の光太郎とともに米作りに励む翔太。
小さな出来事が稲に大打撃を与えるが、喜一の長年の勘と経験が稲を最高の米に導いていく。魅力的な登場人物が物語を盛り上げ、米への愛情が深まり、米が主食の日本人で良かった!と強く感じる作品だ。喜一と翔太、その家族の絆に胸が熱くなるだろう。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

罪の声 塩田武士 (著)

罪の声

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

昭和最大の未解決事件“グリコ・森永事件”を題材にした本作品。
犯行に使われたテープの子どもの声は自分の声だった…という画期的な視点が生み出すリアリティは、どこまでが真実でどこからが創作なのか、その境界をわからなくさせる。
”グリ森”をテーマに書くという著者の執念、事件に巻き込まれた子どもへの想いがひしひしと感じられ、中盤以降ページをめくる手が止まらなくなる。
これまでも綿密な取材を重ね、様々なテーマに挑んできた塩田武士さん。
その一つの到達点ともいえる『罪の声』は、間違いなく今年の傑作になると確信している。今読んでおかないと、絶対に損する1冊だ。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅 四角 大輔 (編)

The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

あなたが今まで生きてきた人生の中で、心を強く揺さぶられた衝撃的な体験といえばなんだろうか。著者はそういった体験を「原体験」と称し、原体験こそがこれからの社会を自分らしく生きていくための手掛かりになるとして、自ら原体験にもとづいたライフスタイルを実現している。
現在、私たちが生きる社会はネットやテレビなどの情報にまみれ、人々はそういった刺激にいちいち反応することを忘れてしまった。結果的に自分らしさが分からなくなったり、生きる目的を見失ってしまったりしている人も大勢いるだろう。本書はただ日々を過ごしているだけでは出会えない、忘れられない「自分だけの原体験」を見つけるために旅に出た十人の多様なエピソードを収録しており、その中には旅での出会いを通して初めて同性愛者としての自分を受け入れられたという人もいる。
こんな風に生きていくことも可能なのだという新たな気付きで今までの価値観から解放され、人生を変えるきっかけにもなりうる一冊。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

電動アシスト自転車を使いつくす本 疋田 智 (著)

電動アシスト自転車を使いつくす本

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

子どもが生まれたから、体力が落ちてきたから、引越し先が坂の多い街だったから……普通の自転車から電動アシストつきに乗り換える理由はさまざまだが、買ったからにはなるべく長く乗りたいもの。しかも1台10万円は下らないとなれば、その思いは切実だ。
本書にはそんなあなたの期待に応える情報が盛りだくさん。高価なバッテリーを長持ちさせる充電方法から、楽に、そして安全に走行するためには、サドルはどの程度の高さにすべきかまで。ちなみに自転車のバッテリーは携帯電話と違い、残量ゼロになったあとも即切れるわけではないそうだ。実際にやってみた(!)著者の体感では、上り坂なら1キロ弱、平地ならなんと7、8キロはアシスト力が続くとか。
また、巻末のアシスト自転車のありうるべき未来も興味深い。前輪二輪、後輪一輪、雨風避けつきの電動アシスト自転車を、車に代わる地方都市の老後の足として売り出したらどうかというもの。車より手軽で健康にもよく、そして何よりスタイリッシュ! 三輪車のどこがスタイリッシュなの? と思われた方、ぜひ本書193ページをご覧下さい。
車より経済的で、でも行動範囲をぐんと広げてくれる新しい自転車のかたち。もう乗っている方はもちろん、買おうか迷っている方にも、あんなの邪道だよ、と思っている方にもお薦めしたい一冊。

書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

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ジュンク堂書店|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

父子ゆえ 摺師安次郎人情暦 梶 よう子 (著)

父子ゆえ 摺師安次郎人情暦

待ってました!(…いえ、実はあきらめていました。)

前作『いろあわせ 摺師安次郎人情暦』から八年ぶりのシリーズ新作『父子ゆえ』。

主人公・安次郎は、名指しで仕事が入るほどの腕を持つ浮世絵摺師。
寡黙で実直。女房に先立たれ、息子の信太とは離れて暮らしているけれど、いつも心にかけている。

めったに会えない父と子。たまにいっしょに過ごすやりとりがあたたかくて、でもすぐにお別れがやってくるというのが切なくて、寂しい気持ちになってしまう。
それというのも信太がほんとうに健気でいい子だから。ついつい肩入れしてしまう。
安次郎いっしょに暮らしてあげてくれ…!と一読者ながらやきもきしてしまう。

今作では信太に起こった一大事をきっかけに安次郎が決断を下す。
父子がどう乗り越えて向き合っていくのか。不安よりも期待がふくらむ清々しい読後感が味わえる。

一方、江戸の生業小説としても楽しめる本作。

浮世絵は、絵師が絵を描き、彫師が版木に彫り、摺師が紙に摺り出来上がる。
今日では、絵師の名以外はなかなか知ることはできないけれど、あの美しい浮世絵は絵師だけでなく、彫師、摺師の腕にささえられていた。

前作ではじめて摺師という言葉を知り、その繊細な技を読み、鳥肌が立ったのを覚えている。
今作でも職人の技と浮世絵の仕上がりの描写には夢中になってしまった。
浮世絵の世界への興味をかき立てられずにはいられない。

ぜひ前作『いろあわせ』(ハルキ文庫)とあわせてお楽しみを。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

〆切本 1 左右社編集部 (編)

〆切本 1

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

誰しもが人生の中で追われることがあったであろう、恐るべき怪物であり、親しい友人のような存在が「〆切」だ。〆切におびえつつも、〆切があることで人は目標に向かって邁進できる。
作家は、周囲の冷たい視線に耐えて机に向かい、時には言い訳をして〆切を延ばし続けながらも、どうにか原稿を書き上げた。明治から現在に至る九十人の書き手たちによる〆切エピソードが詰まった一冊が、この『〆切本』である。夏目漱石や谷崎潤一郎といった文豪から、漫画家の長谷川町子、手塚治虫、今活躍する小川洋子や村上春樹など錚々たる面々が揃い踏みだ。
 もちろん〆切をしっかり守る作家もいるのだが、それを理想としつつもなかなか達成できない人も多い。これを読むあなたはどちらの立場に共感するだろうか。これまで繰り返されてきた〆切との闘いの日々を、今〆切に追われている方にも、辛い〆切の記憶を持つ方にもぜひ一読していただきたい。
内容も素晴らしいが、装丁も優れている。表紙や表紙をめくったトビラには、本文中に綴られている、〆切に苦しむ作家たちの印象的な言葉の数々が印刷されている。とりわけ、表紙の「どうしても書けぬ。あやまりに文芸春秋社へ行く。」という言葉が秀逸である。抜粋された言葉が誰のものであるのか、文中から探していくのも面白いだろう。
 さて、この原稿もまた〆切に追われつつ書き上げたものである。次回は余裕をもって〆切に臨みたいものだが、この〆切を楽しんでいる自分もいるのではないかと思うのであった。説得力はないが、周囲のためにも〆切は守るべきであろう。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

叫びの都市 寄せ場、釜ケ崎、流動的下層労働者 原口 剛 (著)

叫びの都市 寄せ場、釜ケ崎、流動的下層労働者

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

高度経済成長の只中、大阪湾には貨物が殺到した。それを運ぶのは、日々「釜ヶ崎」から移動してくる日雇労働者たちだ。彼らの労働力は、海運・港湾資本にとって、費用の抑制と貨物の波動性への対応に、不可欠のものであった。
そうでありながら、資本は自らの利益のために、労賃を買い叩く。仕事の過酷さは、そして仕事のあるなしもまた、入港する船の混み具合次第である。「釜ヶ崎」は、日本資本主義発達の歪が寄せられた場所である。
歪は隠されなければならない。コンテナ化が「ドヤ街」の労働力を不要とし、続く構造不況で、大資本と行政は、彼らを容赦なく切り捨てる。更に、地域の連続線を分断し、過去の痕跡をも消してしまう。「築港」は「天保山」と名付けられて遊興空間へと変貌し、「釜ヶ崎」はついぞ地名として採用されなかった。
大阪万博、関西国際空港と、東京オリンピックと、かつての港湾労働者は建設労働者として資本に都合よく利用され続ける。仕事を求めて移動する労働者たちと共に、運動は全国に飛び火し、拡がっていった。歪はますます深まり、蓄積されたエネルギーは臨界点を超え、遂に「暴動」として発現する。地名となれなかった「釜ヶ崎」は、運動の名であり続けた。
フリーターと呼ばれる日雇労働者たちがネットカフェの壁に分断され、登録された電話番号のみで調達される今日、原口剛は「釜ヶ崎」の歴史を発掘し、記録していくことにより、そのエネルギーを再び呼び戻そうとするのだ。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

死すべき定め 死にゆく人に何ができるか アトゥール・ガワンデ (著)

死すべき定め 死にゆく人に何ができるか

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

誰もが、人が死すべき定めの下に生まれたことを知っている。しかし、大切な人が死に面した時、あるいは、人生で一度きりの自身の死を前にした時、そのこと理解して受け入れられる人がどれだけいるだろうか。外科医である著者が本書で触れた幾人かの人生とその死の場面は、どれも深く心に刺さる。
 例えば高齢者福祉施設での人のあり方。
医学の進歩により多くの人々が老衰で死を迎える現代では、衰えていく身体機能を、決定的な崩壊=死が訪れるまで介護者が支える。
「人は自分には自律を求めるのに、大切な人には安全をもとめる」。起床から就寝までの行動をコントロールされ、注視される生活を想像してみて欲しい。本文に登場するある高齢の女性は、まるで監獄に入れられているみたい、と話した。また別の女性は、「人生で一番いいことは自分でおトイレに行けるときなのよ」と。これが人生の終着点なのだ。入居者の望みは叶えられないことも多い。しかし医療的には間違ってはいない。転倒の危険は?誤嚥の危険は?介護者から見れば当然の行為も、視点を変えれば大きな矛盾を孕む。
本書ではアメリカの終末期の医療・介護の現場の現在の姿が、その矛盾が浮き彫りにされている。同時に、死に向かうその人が最期の瞬間まで自律した自己を保てるよう、旧来の制度・文化と戦い、前に進む医療者・介護者たちの姿が克明に描き出されている。「正解」はない。だが、患者と共に苦悩し、患者にとっての最善を模索する著者の姿は。読者に一筋の光をもたらすだろう。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂書店|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

配色の設計 色の知覚と相互作用 ジョセフ・アルバース (著)

配色の設計 色の知覚と相互作用

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年10月号より

色彩豊かな数多ある色に関する書の中でも、一際目を引く美しい本だ。初版は1963年に書かれ50年以上読み継がれ、色彩の本として、あるいは現代美術において今や古典となっている作品である。今回手にしているのは発行50周年記念版の日本語翻訳である。
 著者のジョセフ・アルバースはアーティストであり、教育者であった。バウハウスのメンバーであり、後にアメリカへ渡り、ブラック・マウンテン・カレッジ、イェール大学で教鞭をとった。本書は彼の色彩研究と色彩教育の記録である。前半にテキスト、後半にそれに対応する図版が収録されており、主にカラーペーパーを用いた実験を確認しながら学べるようになっている。(必要に応じて図版を切り取って使うのが良い。)
 「理論とは実践から生み出された結論である」と述べているように、色の光、波長の物理学的性質や色彩体系ではなく、一貫して色と色の相互作用と、それを見る眼を養うことに関心が払われている。視知覚において物質の実際の色をそのまま認識されることはほとんど無い。色は美術において最も相対的なものなのだ。色は常に人を騙し、私たちの知覚上で絶えず相互作用を繰り返している。印象派の画家は緑を描くのに黄色と青を混ぜた緑を使わず、黄色と青の小さな点を打ち、知覚上で混ざり合うようにした。
 今日、色彩構成の場はコンピュータへ転換されたが、本質的な色の相互作用への認識と繊細な感受性を学ぶために、尚読み継がれるべき書である。

書店員:「ジュンク堂書店ロフト名古屋店」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|ロフト名古屋店

2人の障がい者社長が語る絶望への処方箋 佐藤 仙務 (著)

2人の障がい者社長が語る絶望への処方箋

いかなるときでも今を生きる

この本は脊髄性筋萎縮症の佐藤さんと筋委縮性側索硬化症の恩田さんの2人の対談をまとめたものである。

 2人とも重い障害を抱えたもの同士であるが、不思議なことに障害者同士の対談という印象は受けない。障害はハンデではあるので、その苦労ももちろん語られているが、一方で障害を持たない人と同じ苦労を味わっている。障害者ではなく2人の熱意溢れる立派な社長として私たちの目にはうつるだろう。

 いかにして自分の人生を生きるかは健常者であっても障害者であっても、その人がどう生きるか、何をするか、であると思う。そんな個の力を説得力をもって証明してくれる一冊である。

医学書担当 上村

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