ジュンク堂書店 三宮駅前店書店員レビュー一覧
ジュンク堂書店 三宮駅前店書店員レビューを100件掲載しています。1~20件目をご紹介します。
| 検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示 |

書店員:「ジュンク堂書店三宮駅前店」のレビュー
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パディントンぴあ 公式ファンブック! (ぴあMOOK)
大人向けの 映画「パディントン」本
みなさん! 映画「パディントン」は、もうご覧になりましたか?
パディントンの日本での認知度は、同じく児童向けクマ物「くまのプーさん」に比べるとあまり高いとはいえませんが、本国イギリスやオーストラリアなどでは、子供時代に読んだ大好きな本で、自分の子供や孫に勧めたいと思っている大人が多いようです。実際、映画のキャストたちは、みな子供時代のパディントンとの良い思い出を抱きしめながら、大変喜んで彼に接しています。大人が観ても十分楽しめるクオリティの高さをもった映画ですが、この冬日本では話題作が目白押しだったためか、この映画を取り上げるメディアも少なく、関連本も小さなお子さん向けのものが少しでているだけで、大人が読んで満足できるものは本誌ぐらいではないかと・・・。(他にあったら、どなたか私に教えてください!)
総ページ数は少ないですが、映画の名場面や原作の挿絵の遍歴など、カラーページで紹介していて、「パディントン」初心者には親切なつくりとなっています。
付録のバックは、形が横長なためモノの出し入れがしやすく、軽くて使い勝手が良いです。書籍ではなくムックなので品切れになってしまう可能性が高い商品ですが、私のように映画を観てからパディントンにはまって関連本を探している方は一度チェックしてみてください。

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ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術 稲田 豊史 (編)
ヒーローの作り手の仕事術
この本には、特撮好きならお馴染みの、戦隊や仮面ライダー、 ウルトラマンなどのいわゆる「変身ヒーロー」を書いたことのある脚本家、三組六人の対談が収められている。
数々の名シーン、印象的な作品を生み出してきた言葉のプロ達は、何を思い、どのようにしてヒーロー・ヒロインを生み出してきたのか?
その手法が、対談を通して語られていく。
この本の中で一番印象に残ったのが、「書けない時はどうするか?」という話題の中で語られた、小林靖子さんの言葉だ。
「もうとにかく、何もかもゼロの状態で、どうしようもなくなったりして。カラの雑巾を絞るような感じです」(P.99より)
この本を読んで以来、何かに行き詰ったとき必ず、この言葉を思い出す。
八方塞がりでどうしようもなくて、でもカラの雑巾を絞るように捻り出した一滴の言葉が、多くの人の心を打つ作品の設計図になっていく。その過程は、それ自体がひとつのドラマのようである。
クリエイターならずとも、同じではないだろうか。
追い詰められて、打つ手がなくて、でもやり遂げねばならないものがあるとき。
その一滴をどう絞り出すか。脚本家六人の、それぞれの言葉で語られる手法は興味深い。
「追い詰められたときの仕事術」の本と思って読むのも、面白いのではないだろうか。

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ギレルモ・デル・トロ クリムゾン・ピーク アート・オブ・ダークネス マーク・ソールズベリー (著)
クリムゾン・ピークに気をつけて
ギレルモ・デル・トロ監督の最新作、クリムゾン・ピークのオフィシャルメイキングブックです。映画…観てきました…最高でした!映画の内容は割愛しますが、本当に最高でした。映画を観ているだけでは堪能しきれない、建物の間取りや隠された秘密、衣装や小道具などこだわりにあふれています。映画を観た方はもちろん、映画をまだ観ていない方も、妖しくも美しいゴシックミステリーの片鱗を味わって欲しい!そして映画も観て欲しい!

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新幹線から見える日本の名城 加唐 亜紀 (著)
ちょっと違ったお城の楽しみ方?
東海道・山陽新幹線から見える主なお城を紹介した1冊。どのあたりで見えるのか、進行方向から右なのか左なのかも書かれているのでチェックしておけば見逃しはありません!お城の歴史だけでなく、ゆかりの名物のページもあるのでご参考に。そして見えそうで見えないお城の紹介があるのも楽しい。
残念なのは写真が新幹線から見えるお城のものではないところですが、そこは本ではなく自分の目で見てお城をお楽しみください、ということなのでしょうか・・・。

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リインカーネーションリバイバル 西田 大輔 (著)
「リンカネ」シリーズ第三弾!
リインカーネーション。通称「リンカネ」シリーズと呼ばれる人気舞台の、第三弾の戯曲本である。
リンカネは三国志をモチーフにした、壮大な物語だ。
曹操、劉備、孫権、関羽や張飛、三国志ファンに馴染み深い英雄たちが出てくるのはもちろん、天の龍の子供「龍生九子」が絡む歴史ファンタジーになっているのが、このシリーズの特色だろう。
龍生九子は、群雄割拠の時代を生きる英雄たちを見出し、「天下の才」を与える代わりに、重い「業」を背負わせる。
天下を目指す英雄たちは、その「業」とどう向き合い戦うのか。
その苦悩や葛藤から生まれるドラマには、自然と胸が熱くなる。
一作目で長坂の戦い。二作目で赤壁の戦いを描いたリンカネシリーズ。
三つ目の本作は、時代が遡り、黄巾の乱が題材だ。
乱の中心人物・張角は、本作ではあたかもジャンヌ・ダルクのような、天の声を聞き民衆を導く少女である。
舞台で張角を演じたのは、佃井皆美さん。
「仮面ライダー鎧武/ガイム」の湊耀子/仮面ライダーマリカ役などが記憶に新しい、細身の身体から繰り出されるキレのあるアクションが魅力的な女優である。
リンカネの英雄たちは、皆それぞれ、原典の三国志に負けないほど個性的で魅力的で、そしていつも誰かのために思いを馳せて戦っている。
著者・西田大輔氏の芝居は、殺陣の多さがひとつの特徴だ。
その点、戯曲本に書かれた文字から、殺陣のアクションの様子はうかがい知れない。
だが、ここに記された登場人物たちの、台詞の強さを見てほしい。
きっと、身体を動かし立ち回るだけが殺陣ではない。
役者が台詞に思いを乗せて発するのもまた、戦うということなのだ。
この戯曲本に書かれている文字のひとつひとつは、劇作家が役者に与えた、台詞という「戦う術」である。
そう思わせてくれるほどに、西田氏の描く世界と言葉は、文句なしにかっこいい。
リンカネは全部で七作になる予定だという。
この2015年末から2016年始にかけて、四作目が上演されたばかり。
ちなみに四作目では官渡の戦いが描かれた。
次作上演はまだ先だ。今までのシリーズを知らない人も、戯曲本を読みつつ過去作の内容を知り、次作に備えるには十分な時間がある。
舞台を見た人は、あの光景を思い出しながら。
見ていない人も、台詞の中に英雄たちの息吹を感じつつ、楽しめる一冊となっている。

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ザワザワ アシュレイ・ウッド画集 アシュレイ・ウッド (著)
ザワザワザワザワ
世界中のトイファンから熱狂的な支持を受けるアシュレイ・ウッドの画集。大胆で勢いに溢れてるのにどこか繊細で…うーん計算高いです!大迫力の油彩がかっこよくてたまりません!圧巻です!見ていてワクワク感じてザワザワ!どのページを開いてもかっこいいので、是非一度お手にとって見てください。

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ONE PIECE 巻80 (ジャンプコミックス) (ジャンプコミックス) 尾田 栄一郎 (著)
戦いだけじゃない少年漫画
バトルシーンのかっこよさは少年漫画の必須アイテムですが、この作品は、後日談も負けず劣らず素敵です。今回は、もー泣いて驚いて笑っての大盤振舞い!戦いよりも宴が大好きなヒーロー(主人公)ってカッコいいっすね。

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モーションシルエット かげからうまれる物語 silhouette books (著)
かげからうまれる物語
2015年度世界で最も美しい本コンクールにて銅賞を受賞したポップアップ絵本。この絵本は謂わば未完成だ。飛び出す仕掛けに光を当てることで物語がはじまり、受け取り手によって様々な顔を見せる。光を動かせば影も動く、ゆらゆらと幻想的で繊細な絵本だ。

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いいがかり 原発「吉田調書」記事取り消し事件と朝日新聞の迷走 『いいがかり−原発「吉田調書」記事取り消し事件と朝日新聞の迷走』編集委員会 (編)
あれは一体なんだったんだろうか
2014年9月12日の朝日新聞朝刊の第一面を、「あれは一体なんだったんだろうか」と思っている人へ、ご一読されることをお勧めします。

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エゴ・サーチ 鴻上 尚史 (著)
忘れたくない人がいる人のために
インターネットを使う人なら、一度はやってみたことがあるのではないだろうか。
「エゴ・サーチ」――自分の名前をインターネット上で検索することである。
物語は、駆け出し作家の青年・一色健治を中心に回っていく。
一色はある日、インターネット上に自分と同姓同名、出身地も生年月日も出身大学も同じ「一色健治」のブログを発見する。
一色は、そのブログの管理人にメールを送る。
「あなたは本当に一色健治ですか? もしよろしければ、あなたのことを教えてくれませんか?」
――「もうひとりの自分」の目的は何なのか?
その謎が解けたとき、観客はきっとハッとするに違いない。
当作品を、私は、虚構の劇団第9回公演(2013年)の再演版で観劇した。
そのとき、カメラマンの青年役に一番強く惹きつけられた。
彼の役名を明かさないのは、これが話のひとつの核心にも触れるからだ。
一度目をマチネで観劇し、カメラマンの青年の動きに注目するために、終演後すぐさまソワレの当日券を買いに走った。
彼が何を思って行動していたのか解った上でもう一度見ると、上手く言葉に出来ないのだが、敢えて言葉にするならば、彼の行動を「切ない」と感じた。
そして同時に、大好きな人を「忘れたくない」という、強い強い執着を感じた。
死んでしまった人や、遠く離れていってしまった、大切な人を忘れたくないという思いは、誰もがどこかに持っているだろう。
普段の生活の中では忘れている――忘れたつもりになっているそんな微妙で繊細な感情を、「エゴ・サーチ」の物語は揺さぶるのだ。
この他にも、自分が死んでしまったことに気づいていない女の幽霊、沖縄から来たガジュマルの木の精キジムナー、売れないバンドの二人組、過去に何か秘密を持つIT関連企業の社長とアシスタント、などなどの個性的な登場人物が集結していき、謎が謎を呼び、そして最後は驚くような種明かしが待っている。
今回は戯曲本を紹介しているが、過去公演はDVDにもなっているので、ぜひ観劇であっと驚いてから、戯曲を読み直して物語を噛み締める鑑賞スタイルをおすすめしたい。

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英文精読術 東大名誉教授と名作・モームの『赤毛』を読む 行方 昭夫 (著)
「多読」で培った力を試せる「精読」本
近年、リーディングの学習法として「多読」という方法が注目を集めています。「気ままに読みたいものを読み、あきたら途中でやめて別の本を読んでもいい」といった学習法のため、小さな子どもや学校の勉強とは縁がなくなった大人を中心に普及してきました。今では多読をする人を「タドキスト」という造語で呼びあうほどまでに広がっています。
この「多読」。ずっと続けていると途中で、ふと不安になるときがあります。
「今、読んでいるこの英語の本の内容、わたし、ちゃんと理解できているのかな?」
そんなときに、自分の実力を測りたくなってリーディングの問題を解いてみようかと思うのですが、手に入るのは精読を基本にした学生向けのものばかり・・・。「気ままに」をモットーに読み散らかしてきた私にとって、「興味の持てないものをじっくり読む」というのはかなり苦痛であります。
そんな人にピッタリなのが本書です。
丁寧な解説と、見開きページで1セクションを読みすすめることができるシンプルな構成が、気の短いわたしでも飽きずに「読んでいける」ようになっています。リーディングの勉強よりも「読むこと」を優先した珍しい精読の本です。同じ構成で他の文学作品も刊行されることを期待します。

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間取りの手帖remix (ちくま文庫) 佐藤 和歌子 (著)
間取り萌え
間取りというものはとても魅力的だと思う。わたしはアプリで物件情報を調べるのが好きだ。別にその部屋に住みたいと願うわけでなく、ただ眺めるだけで満たされていく心・・・間取りには不思議な力があるのだ。本書を読んでわたしは自分が間取りに”萌え”ていることがわかった。みなさんにもぜひこの本で間取り萌えを体感してほしい。

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アルボスアニマ 1 Plant Hunter (RYU COMICS) 橋本 花鳥
人と植物の狭間に立つ
物語には「天・地・人」の面白さが必要だ。
天、いつの時代の物語か。
地、どこで起こった話なのか。
人、誰について語られるのか……である。
本書はその天・地・人の面白さが三拍子揃った物語だ。
この『アルボスアニマ』というマンガ、時は十九世紀。東南アジアで物語りは幕を開ける。
主人公は植物採集家の16歳の少年、ノア・レスコット。
はるばるヨーロッパから、植物を採集しに世界各地を飛び回る植物採集家(プラントハンター)である。
ノアは他人にない特殊な能力を持っている。
それは植物の根より、その植物の持つ記憶をたどることができる「起源追想」という、オブジェクトリーディング、サイコメトリの類の能力だ。
同じく植物採集家の父が持って帰ってくる植物に囲まれた温室で、15歳まで一歩も出されずに育った、文字通り「温室育ち」のノアにとって、遠い異国の記憶を届けてくれる植物は「友人」である。
そんなノアが、依頼を受けてまだ見ぬ「友人」を探す途上で、様々な事件に巻き込まれていく――。
元・海賊で、ノアの助手兼護衛のラジャード。
故郷の森を焼いた植物採集家への復讐を誓う少女、イヴ。
ノアと共に仕事をする、世界的大園芸商・ディーバ商会の面々も個性的である。
わくわくするような冒険の予感が、ページの端々に躍っている。
著者・橋本花鳥氏の、ヒトならざるものへのまなざしもまた、独特で興味深い。
著者のホームページでは、『虫籠のカガステル』という、著者の原点が垣間見えるマンガが無料公開されている。
本書に興味をもたれたら、こちらも併せて読んでみると、面白いかもしれない。
また、「プラントハンター」の存在に興味を持った方には、NHK取材班編『プラントハンター西畠清順 人の心に植物を植える』(小学館)もおすすめしたい。
「1年間に地球10周分移動する」という、プラントハンターの仕事ぶりが紹介されている。

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アーブル美術館「大贋作展」 アーブル美術館 (著)
大贋作展
親子3人が古今東西の名画を模写した贋作作品集。ただ鑑賞するだけでなく、模写することで存分に名画を楽しんでいるように感じる。とってもポップでキュートなのだ。この作品集から今まで気づかなかった名画の側面にも触れられそうだ。贋作だって立派なアートの一つなのだ!

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ONE PIECE 巻79 (ジャンプコミックス) (ジャンプコミックス) 尾田 栄一郎 (著)
実は私は結構前から気に入っていた
私が選んだドレスローザ編でのダークホース(え、お前って結構いいやつじゃん)
セニョールピンク、キャベンディッシュそしてギャッツ。
「ん? ギャッツって?」と思ったそこのあなた、是非79巻を読まれたし。

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JAPAN ロバート・ブルーム画集 ロバート・ブルーム (画)
JAPAN
アメリカ人ロバート・ブルームの目から見た日本はとても鮮やかだ。いや、実際は鮮やかだったのだろう。ロバート・ブルームが日本を訪れたのは1890年。私の思い描く明治は当時の白黒写真の印象が強いためか味気ないモノクロームだ。そういう人は多いのではないだろうか。当時の人々の温かさや気骨がロバート・ブルームの目を通じて現代に届いている。その感動を様々な人に感じてほしい。是非手に取っていただきたい画集である。

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とにかくうちに帰ります (新潮文庫) 津村 記久子 (著)
(いつか)働くすべての人に読んでほしい1冊
旅先へ向かう新幹線の中で読んだ。読んでいるうちに新幹線Uターンしてくれないかなと思うほどにうちが恋しくなった。とんでもないパワーだ。
いくつかの短編が入っており、『職場の作法』は職場にいそうな人々の話にクスッとしたり、どこかにいそうだと共感する。
表題の『とにかくうちに帰ります』では大雨で帰宅困難となった、ある意味非日常下におかれた4人の登場人物がとにかくうちへ帰ろうと必死になる姿に胸打たれる。雨に濡れ冷たくなった心と体に何気ない人々の――まるで某ガキ大将が劇場版でいい奴になるかのような――優しさがじんわりと温かく広がる。
また西加奈子さんのあとがきがとっても面白い。あとがきを読みながら「せやねん、せやねん・・・!」と首をブンブン振った。

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かっこいいぞ!職人本 かっこいいぞ!職人本製作委員会 (著)
こういう図鑑が欲しかった!
鳶職人、造園職人、左官、内装職人等々……。
職人を集めた図鑑である。
しかも「かっこいい職人」である。
そのかっこよさを、本書では写真やインタビューも交えつつ、余すところなく紹介している。
全部で26種の職人を紹介し、それぞれについて「どんな仕事など?」という基本的な疑問から、彼らが使う道具とはどのようなものか、どうやったらなれるのか、どのような資格が必要か、そして気になる給料は……など、まさに「そうそう、こういうことが知りたかった!」という疑問に答える図鑑である。
いつだって、未知の世界を覗くとき、人はワクワクするものだ。
はつり職人、墨出し職人、などという存在は、寡聞にして知らなかったが、こんな仕事があるのか、と新たな世界が開ける思いだった。
創作のお供として、キャラ作りの参考に。
また作業服「寅壱」のコーディネートまで載っている。絵を描く方の資料用にも使えそうな一冊である。

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魔法書の姫は恋をする はじまりのキス (角川ビーンズ文庫) 薙野 ゆいら (著)
魔法書の姫は恋をする
この物語を読み終えたとき、きっと今より「本」がもっと好きになっている。
この物語の舞台は、中世ヨーロッパを思わせるアングリア王国。
主人公は、ソフィア・エイヴァリー。魔法が生きていた時代から続く、古き民の末裔である。
このソフィア、エイヴァリー家の伯爵令嬢であり、兄のフィンレイが大好きないわゆる「ブラコン」の、深窓のお嬢様である。まともに領地の外へ出たこともほとんどない。
しかし、そんな彼女が兄の失踪の手がかりを求め、大学都市ランダルベリーに向かうところから物語は動き出す。
伯爵令嬢が領地を長期間空ける理由として、「大学に入学する」という表向きの立派な理由を用意した上で、ソフィアは兄捜索のために<闇の書庫>と呼ばれる大学図書館と通じる地下組織に潜入し、そこで<鍵の騎士>アレクシスとの出会いを果たす。
この物語の魅力は、何と言ってもソフィアのこの行動力にある。
元々好奇心は旺盛だが、引っ込み思案な彼女は、世界に触れ、人と出会い、友を得て、恋を知り、みるみる人としての輝きを増していく。
こう書いていると、まだよくある少女向けレーベルのお姫様冒険譚に聞こえるが、この物語の――そしてこの物語に限らず、この作者・薙野ゆいらの作品は、いずれも主人公が何か熱狂的なものを持っている。
デビュー作「神語りの玉座」シリーズでは、紅茶を思わせる「紅灑茶(カーテ)」。
二作目「金蘭の王国」シリーズでは「毒」(!)
そしてこの「魔法書の姫は恋をする」シリーズでは「書籍・本」――ありとあらゆる本である。
このフェティシズムに溢れた、丹念な、しかし物語の進行を妨げず、むしろよりいっそう盛り上げる描写が、薙野ゆいらの作品の全編にうかがえる。
その確かな描写力は、もちろん、主人公たちの興味の対象物を描くに留まらない。
街角の石畳のひんやりとした硬さ。
瞳が痛くなるほどの夕陽の赤さ。
書物に囲まれた空間特有の紙の匂い。
そして凝る闇の重さや密度までもが、その文章の端々から立ち昇る。
ページを一枚めくるごとに、目の前に見たことのない世界が、鮮やかに織り上げられていく。
この快感は、ハイ・ファンタジーならでは、そして薙野ゆいらの彩り豊かな感性と筆力あってこそだろう。
世界がきらめいて華やかで、しかししっかり、土の香りもしてくるのだ。
さて、このシリーズ「魔法書の姫は恋をする」は、<真書>という強大な魔法の力を秘めた魔法書をめぐっての物語である。
<真書>に限らず、本を愛し、守りたいと願い人々の戦いであり、兄様大好きで狭い世界しか知らないソフィアが世界を知り、自分を知り、恋を知っていく成長の物語だ。
張り巡らされた何気ない伏線が、一本の縄のようにあざなわれ、散らばったピースがぴたっとあるべき場所に収まっていく物語の構成は、痛快だ。
そしてそこにひとしずく垂らされた、胸をときめかせるようなソフィアの甘い初恋。
話の詳しい筋は、ぜひ読みながら確かめてほしい。
登場人物はいずれも魅力的である。
ソフィアの兄で、騎士物語の騎士はかくやという完全無欠の(しかし重度のシスコンな)フィンレイ。
やたらワケありなスキルの高い、ソフィアの忠実な侍女・ネリー。
ひとくせもふたくせもありそうな、謎の司書・シリル。
本作のマスコットキャラクター的存在である、黒い子狼のリコス(これが本当にかわいい)。
そして<鍵の騎士>としてソフィアと共に護書官の任に当たり、ソフィアの世界を拓いていく青年・アレクシス。
必ず好きなキャラクターが見つかるだろう。
そして、頑張り屋で、ひたむきで、才気溢れる勇敢さを秘めたソフィアを、きっと応援したくなる。
読み終えたとき読者もきっと、本をこよなく愛し、本を護るために戦うソフィアのように、「本」がかけがえのない愛しい存在になっているはずだ。

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厭世マニュアル 阿川 せんり (著)
「口裂け」の止むを得ない戦い!
主人公は自らを「口裂け」と称する22歳女子。どこへ行くにもガーゼマスクを着用し外さない姿はまさに口裂け女。
数々のトラウマから心を閉ざし、人付き合いを避けて生活していたが「怪人アンサーセンパイ」や「ざしき女」の登場により、やっかいごとへと巻き込まれ、自らのトラウマと向き合っていくことに・・・。
「口裂け」の止むを得ない戦いに思わず胸が熱くなります。
