丸善 京都本店書店員レビュー一覧

丸善 京都本店書店員レビューを5件掲載しています。15件目をご紹介します。

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書店員:「丸善京都本店」のレビュー

丸善
丸善|京都本店

最初の質問 (講談社の創作絵本)長田 弘 (詩)

最初の質問(講談社の創作絵本)

質問を持ち続けること

お休みの昼下がり、お店のカウンターでコーヒーを飲みながら、カウンターごしに、
もし、生まれ変わったら、こんな風に生きたいんです。
そう言うと、それを聞いたお店の人が、不思議そうに、
どうして、今じゃだめなんですか。
と言いました。

 わたしは、その問いに答えられませんでした。
それから、どうしてだろう、どうしてだろう・・・
と自分に問い続けました。
そこから、わたしの日々が、ぎゅん!と回転したようにおもいます。

 たとえ、答えがでなくても、自分に問うことが、生きていくうえで、大切なことのひとつかもしれません。

 長田さんの言葉といせさんの絵がよりそう一冊です。

                               (き)

書店員:「丸善京都本店」のレビュー

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丸善|京都本店

やかまし村の春・夏・秋・冬 (岩波少年文庫)アストリッド・リンドグレーン (作)

やかまし村の春・夏・秋・冬(岩波少年文庫)

だれかを幸せに・・・

大切に思う人が疲れていたら、その人が元気になるといいなと思います。
そして、自分になにかできることはないかなあと思います。
それが自分に何ができるかばかりにフォーカスしてしまうと、なんだかちょっと最初の気持ち、その人を思う気持ちからずれてしまうような気がします。
 人が人にできることって、だいたいのところそんなになくて、でもそれとは思わずにしたことが、良い影響を与えたりするように思います。
 
 やかまし村のリーサとアンナは、だれかを幸せにしたくて、いろいろ試してみるのですが、
お母さんに、
あなたたちの顔を見ただけで幸せよ、
とか
アグダに、
そうじのじゃまにならないように、この部屋から出ていってくれたら幸せだよ、
などと言われてがっかりの連続です。
その二人のうまくいかないさまがユーモアと愛情たっぷりに描かれていて、読むたびに笑ってしまいます。
 さて、二人はだれかを幸せにできたでしょうか・・・
 そして、わたしやあなたはどうでしょう・・・

 こころのふるさとのようなリンドグレーンの物語です。

書店員:「丸善京都本店」のレビュー

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丸善|京都本店

作家 M.B.ゴフスタイン (作)

作家

言葉の種

前に読んだ翻訳本に
(原作者が)すばらしいのは、そのうまさやなんかではなく、小説に対する作家としての誠実な姿勢であり、そこが読者を惹きつけるのだ
というような訳者のあとがきがありました。
 作家でなくてもわたしたちは言葉をやりとりして、なにかを伝えあっています。
 でも言葉はあくまで共通の記号みたいなもので、そこにこめられているものは、その発した人のエネルギーなのだとよく感じます。
 気が合うとか、合わないとかいうことも、そういうことなのでしょう。
 いつか落ち込んでいるときに、
「ボロ勝ちだから。大丈夫だから。もういつまでも、うじうじしなくていい!」
と友だちがきっぱり言ってくれて、ボロ勝ちってなにに勝つのかな・・・とちょっとおかしくて、そしてあたたかいもので胸がいっぱいになりました。
 時間がたって、そのときわたしは友だちから、やさしい気持ちを受けとって、そしてほんの少し前に進むことができたのだなあと思いました。
 わたしたちは意識しないで言葉という種をまき、作家は祈りをこめて言葉の種をまいているのだ・・・
そのことを静かにそっと語るゴフスタインの世界です。

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カボチャありがとう 木葉井 悦子 (作)

カボチャありがとう

愛と喜びにつつまれる・・・

「無償の愛」というすてきな響きの言葉があります。
 ときに「わたし」がだれかを愛しいと感じます。
でもそれが、「無償の愛」と思えることは、まれではないでしょうか。
 しばしば例えられる親から子への愛というのも、期待やパワーゲームに陥りがちな気がします。

 かぼちゃはみんなに食べてもらえてうれしい。
みんなはかぼちゃをおなかいっぱい食べてうれしい。
そしてそのあとかぼちゃは種として眠りにつく。
そこには、してあげるとか余分なものがなにもない。
これは愛だろうか、
無償の愛だろうか、
利用してることにならないだろうか・・・
などとだれも思いません。
でもみんなが愛に包まれていて、喜びにあふれています。

 木葉井悦子さんの力強く、美しい世界です。

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丸善|京都本店

〆切本 左右社編集部 (編)

〆切本

しめきり。そのことばを人が最初に意識するのは、おそらく小学生の夏休みです――。

冒頭の言葉に「ううっ…」と唸って読み始めると、手が止まらない。しめきりにまつわる文豪たちの悲喜こもごもが詰まったアンソロジー。紹介には"しめきり症例集"あるいは"しめきり参考書"とあるが、"しめきり恋文集"と呼んでみたい一冊でもある。

泣いても笑ってもつきまとうしめきりに、迷い、悩み、頭を抱え振り回される者。かと思えば、そつなく付き合い理想的な美しい関係を築く者。はたまた繰り返される第三者(大抵の場合、編集者である)の介入に戦々恐々とする者――。

しめきり前に必ず書き上げ、書き上げたものが身近にあると落ち着かず、「早くてすみませんが…」と添え書きまでして原稿を送る吉村昭氏が、編集者に「神様仏様」と感謝されるが、〆切過ぎてやっと手にした原稿こその醍醐味を聞いてしまう…なんて、追いかけても追いついても、しめきりとは全く思い通りにいかない。

こちらの性分ひとつで善人顔にも悪人顔にも変化するしめきりに宛てた、偉大な先人たちの言葉は、しめきりを今より少し、愛しく感じさせるかもしれない。

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