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壊れた社会の枠組み【...

壊れた社会の枠組み【森】で生きる、よるくもと呼ばれる殺し屋の青年。
殺人兵器として育てられた彼は、人間としての感情や教養がないに等しい。
暴虐や、狂気。度重なる絶望。
目を逸らしたくなるような事象に、心が痛んだり、ざわついたりするのは、正常な精神構造を構築できる環境があってこそだ。その環境を与えられずに育ったよるくもは、純真無垢な残虐さで、人を傷つける。

どこまでも暗く、重い空気の中。少女・キヨコの存在は一縷の光のようだ。彼女のしなやかさ、聡明さは、作中を明るく、和やかにする。と同時に、どこまでもどこまでも深い闇の深淵を浮き彫りにしていく。

太宰治の言葉に『死と隣合せに生活している人には、生死の問題よりも、一輪の花の微笑が身に沁みる。』という言葉がある。

救いようのない混沌とした世界。そこで交わされるなんでもないようなやりとり
が、とても美しくみえるのは、きっと私だけではないだろう。

コミック担当 Y本