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この夏は佐藤泰志とと...

この夏は佐藤泰志とともに過ごすと決めました！
同時代を生きていたにも関わらず、見過ごしていた罪の意識からか佐藤泰志を読むことは贖罪のような気がしています。
昨年秋に映画化された『海炭市叙景』のヒットで復刊が相次ぐ佐藤泰志。
文藝担当としては恥ずかしいことに、わたしも『海炭市叙景』で著者を知った一人なのですが、既に90年に死去されているため残念なことに今後新作を読む機会はありません。残された人間として復活を祝い、読める喜びをかみしめるのみなのです。
今年5月に刊行されたばかりのこの作品集にはデビュー前に書かれた初期の未刊行作品十編が収められています。70年代に書かれた作品ですが、時代を感じさせません。もちろん当時の風俗は描かれていますが、作品としてはちっとも古びておらず新鮮な輝きに満ちています。
佐藤泰志には夏が似合う。北海道の短い夏。駆け足で過ぎ去る眩しい季節。そこには強い日射しの中、育まれる若い生命があります。みなさんも是非、この夏を佐藤泰志とともに。

文芸担当　伊藤