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宮廷画家にだけはなり...

宮廷画家にだけはなりたくない。
怖い絵シリーズを読んでの感想です。
君主は暴君だったり、無能だったり、ビジュアルに魅力が無かったり…
そんな環境の中で日々激務をこなしながら、命の危険を感じながら、
持てる技術の全てを総動員で本人と認識できる範囲で最大限に美化して描く宮廷画家という存在。

例えば、作品11　ホルバイン『ヘンリー八世像』
かの有名なヘンリー八世、見るからに恐ろしい容貌。
しかもこの肖像が描かれた時期に二番目の妻アン・ブーリンが処刑されているという。
クロムウェルの処刑など肖像画を描いた本人として、いったいどんな心境だっただろうか…。
やっぱり、宮廷画家にだけはなりたくない。

さて、歴史と絡めて名画を楽しむことを教えてくれた怖い絵シリーズは3で完結となりました、残念です。
が、集英社より『残酷な王と悲しみの王妃』というますます興味深い新刊も出ております。
芸術書の棚を面白くしてくださる中野京子さんの著作からは今後も目が離せません。

広島駅前店　芸術書担当