イーハトーブの童話作...

イーハトーブの童話作家・宮澤賢治には、教師だった時期がある。その薫陶を受けた生徒は、300名近くあったという。
では、｢教師・宮澤賢治｣とは、どんな人だったんだろう？
本作は、かつての教え子たちに取材した労作「証言　宮澤賢治先生　イーハトーブ農学校の１５８０日」などをベースに、コミカライズしたもの。
宮澤賢治という人を、通り一遍の事象だけで語ろうとすることは、難しい。
しかし、その生涯を通じて、もっとも長く安定した日々を過ごした教師時代の日常を描くことで、不思議な人・賢治の一面が、現実感を伴って見えてくる。
数学、化学、英語、農業各科に加え実習を担当し、水稲耕作も行う多才ぶり。思い立ったら夜を徹してでも野山を踏破する行動力。作業服のまま泳いだり、生徒と羽目をはずして騒いだりの無邪気さ。余るほどの周囲への気遣いと、教え子への心配り。賢治は、今や懐かしい「熱血教師」のハシリだったのかもしれない。（店長）