書店員レビュー一覧
丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。1~20件目をご紹介します。
書店員:「ジュンク堂」のレビュー
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来たるべき蜂起 不可視委員会 (著)
二〇〇五年一〇月二七日夜、警官に追跡された
二〇〇五年一〇月二七日夜、警官に追跡された北アフリカ出身の若者三名死亡・負傷をきっかけに起こったいわゆるフランス暴動は、記憶に新しい。
著者たちは言う。「われわれの歴史とは植民地化、移住、戦争、亡命の歴史であり、いっさいの定住に対する破壊の歴史である。」「われわれは、労働主義のフィクションがなくとも申し分なく生きていける世代に属している。」「コミューン、それは人びとが出会い、投合し、共に歩んでいこうと決めたときに生起する。」
「生産性の向上が謳われ、生産の脱地域化、機械化、オートメーション化、そしてデジタル化が果てしなく推し進められた結果、商品製造のために物理的な生きた労働はほとんど必要とされなくなった」のは、もちろんフランスだけの状況ではない。ただ、本書の著者たちの権力に対して怯むことなき糾弾の姿勢を見るとき、フランスは「フランス革命」を生んだ国なのだ、と改めて思う。
「政府が人民の権利を侵害した場合、蜂起は人民と人民各自のためのものである。この蜂起権は諸権利のなかでもっとも神聖なものであり、何にもまして欠くことのできない義務である。」一七九三年憲法第三五条である。