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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

丸善
丸善|丸の内本店

死霊解脱物語聞書 残寿 (著)

死霊解脱物語聞書

1672年というから江戸前期、下総国岡田郡羽生村で奇怪な事件が起こった

1672年というから江戸前期、下総国岡田郡羽生村で奇怪な事件が起こった。農民・与右衛門の一人娘・菊に死霊が取り憑いたのだ。口から泡を吹き、介抱した父を睨んで「こっちへ来い、噛み殺してやる」と声を荒げ、自分は25年前に鬼怒川で殺された先妻であると宣言する。
取り憑かれた菊は正気に戻ると今見てきた地獄極楽の様子を語り、再び死霊が憑依すると村役人の説得にも「小難しい理屈など知ったことか」と逆ギレ。村の連中は自分たちの亡き親兄弟の消息を尋ねるが、ほとんどが地獄行き。理由を具体的に述べられ村人は茫然、名主は噂が広まり村が滅亡するのではと心配する。
若い僧侶が往生させるも、一月後再び菊に死霊が憑依する。僧侶が再び呼ばれ死霊と対決して新たな真実が発覚する。先妻の父母に当たる先代の与右衛門夫婦が60年以上前に醜い連れ子「助」(すけ)を川に投げ込んでいて、今回の死霊はその「助」であった。先妻は生まれてくるやその醜い連れ子そっくりの容姿であったため「累」(かさね)と名づけられる。そして、その容姿を疎んだ夫・与右衛門に殺されたのだ。助も僧侶・祐天が成仏させて一応一件落着。
怪談というより、実録エクソシストものと呼ぶべきものだが、これぞあの累伝説のもとである。鶴屋南北によって歌舞伎化され、さらに三遊亭円朝によって「真景累が淵」に仕上げられる。真実は地味かもしれないが、結局一番恐ろしいのは人間そのものだと気づかされる。

(評者:丸善丸の内本店 専門書担当 黒騎士)

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