書店員レビュー一覧
丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。1~20件目をご紹介します。
書店員:「ジュンク堂」のレビュー
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木村充揮自伝 憂歌団のぼく、いまのぼく 木村 充揮 (著)
クラシックがメインの黒書店員にとってロックはあくまで「お勉強」みたいなものだ
クラシックがメインの黒書店員にとってロックはあくまで「お勉強」みたいなものだ。ストーンズやザ・フーなどを聞くとブルースの影響云々とかいわれる。先日もマディ・ウォーターズとストーンズのライブをWOWOWで見たが、正直な感想をいうと「何や、憂歌団やんけ」である。
ブルース・バンドを直訳した憂歌団をはじめて知ったのは果たしていつのことか。勝手に木村君とか友達のように呼んでたし、ライブ盤「生聞59分」は永遠のバイブルである。あの神代辰巳の大傑作「赫い髪の女」における憂歌団の音楽のウエイトたるや絶大である。「嫌んなった」「どてらい女」「出直しブルース」と石橋蓮司と宮下順子の堕ちてゆく性愛の日々とのあまりのマッチぶりに鑑賞後帰途路で口ずさむこともしばしばである。
上田正樹といい、ブルースと大阪とはどうしてこんなに合うんだろう。神戸出身の黒書店員にとって大阪は同一視されたくない近親憎悪の関係だが、関東にいる今無性に聞きたくなる。阪神タイガースなどよりはるかに関西的だ。ドラムの島田和夫の急死によってあの四人が再び集まることは無い。この物悲しさこそブルースそのものだ。
黒書店員 D