書店員レビュー一覧
丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。1~20件目をご紹介します。
書店員:「文教堂 カレッタ汐留店」のレビュー
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- 文教堂|カレッタ汐留店
戦略おべっか どんな人でも、必ず成功する ホイチョイ・プロダクションズ (著)
その昔、木下藤吉郎が信長の草履を温めた話も
その昔、木下藤吉郎が信長の草履を温めた話も、若き日の石田三成が鷹狩りで喉が渇いていた主君秀吉にぬるい茶から順次熱い茶に変えて出して歓心をかったのもすぐれて「戦略的おべっか」なのだという前説から始まり、電通マンの営業の小技が36技紹介されている。
一編ごとのイラストが本当に傑作で、吹き出してしまう裏技もあるが、もちろん電通の営業マンたちは大真面目である。巷では文化系の博報堂に対して体育会系の電通という伝説もあるが、体育会の面目躍如である。
大会戦になる仕事を狙っても、ともかく前線に出なければ闘えない。どんなに優れたクリエィティブ力があっても得意先に使ってもらえなければ腕のふるいようがないではないか。ではそのためにはどうするか、社内に組織的に蓄積されたノウハウの大公開である。でもコレって企業秘密なのでは?
あとがきに中坊公平の言葉を引いて「人を動かすのは、正面の理、側面の情、背面の恐怖」の3つだがその内の「情」を動かすのが「戦略おべっか」なのだといっている。「おべっか」は「気くばり」であると解説しているが、「気くばり」と言ってしまうとこの本の面白さは半減してしまう。そこがこの本の戦略性である。
(評者:文教堂書店 カレッタ汐留店 ビジネス書担当 森静男)