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Ｘイベントとは予想外の確率で…

Ｘイベントとは予想外の確率で起こる事件・事象によって法外な影響・被害がもたらされることをいう。サンタフェ研究所に在席した著者が説くのは複雑性から見たＸイベントの特徴とその予測・回避。
　まずキャスティは複雑性を７つの原理（創発・赤の女王仮説・不可避な代償・ゴルディロックスのポリッジ・決定不能性／不完全性・バタフライ効果・必要多様性の法則）に分類し、複雑きわまるインフラの脆弱さとそれがもたらす破滅的な結果について１１の事例を挙げる。ここには現在進行形の３．１１などは含まれない。（序文で言及している）「絶滅」「カタストロフィー」「惨事」に分類される結果やその蓋然性などは本書を参照されたい。
　１１の事例はインターネット停止や電磁パルスによる機器の破壊から石油の枯渇、核拡散、流行病、そして食糧危機に金融市場崩壊など。システムの複雑性のミスマッチがもたらす悪夢を回避するため著者が説くのは数学的或いはエージェントベースのシミュレーションと複雑性のギャップの軽減、そしてシステムや個人の適応力・柔軟性。日本のデフレについても述べている。知りながら見ないふりはもう許されない。
　　　黒書店員　Ｄ