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この本で紹介されるアフリカ・イ…

この本で紹介されるアフリカ・インドシアの部族の家屋には、現在の日本建築にはとうに見られない、民族の思想や習性がはっきりと表現されている。それは外敵から家族を護るための隠し部屋であったり、祖先の霊が住む屋根であったり、あるいは男の空間、女の空間というように性別で区別された構造だったりする。特にインドネシアの住居は地下界・地上界・天上界を表現した三層から成っていて、集落が宇宙であるらしい。住まいとは、集落とは、単に生活するための空間ではなく、こうした民族のアイデンティティを確保維持する装置でもあるとしたら、我々日本人は果たして何を伝えていったらいいのだろう、ということを考えさせられた。