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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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ジュンク堂 池袋本店店員

書店員:「ジュンク堂書店池袋本店」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|池袋本店

山口晃大画面作品集 山口 晃 (著)

山口晃大画面作品集

日本画と西洋画、過去と未来…

日本画と西洋画、過去と未来、そして現実と虚構が錯綜し共存した世界を、高度な技術力とユーモア・センスで構築する画家、山口晃。彼の2作目の作品集となるのが、本書『山口晃大画面作品集』です。

彼の作品を観た多くの人は、そこに「日本の伝統」のような何か、を恐らく感じ取るでしょう。「日本の伝統」的な形式の上に、現代的な表象や空想を混ぜ込んだもの、というような感覚を。しかし、山口の形式的方法論はあくまで西洋画の手法にあり、大和絵のような彼の図像は、実は油絵具で構築されているのです。

近代以前の日本美術(これ自体も様々な文化の混合物である訳ですが)とは実は大きな切断線を持つ、明治時代以降の「日本画」「西洋画」という二つの絵画形式。私たち日本人は、そんな流れの中で生み出された「日本画」が「日本の伝統」であるという一つ目の誤解をした上で、「西洋画」技法でつくられた「日本画」的画風の山口の作品を、「日本の伝統」の上に現代的想像を膨らませたもの、という二つ目の誤解をしてしまいがちなのです。このことは、そもそも「伝統」という概念自体がフェイク・仮構でしかないものであり、そしてそのことに私たち日本人が如何に無自覚であるかということを、戯画的に炙り出してしまっています。

ユーモラスな表象として楽しむこともできる山口の作品は、実は「日本における文化や精神の在り方」を批評的に抉り出す「システム」であるとも言えるのではないでしょうか。思わず笑ってしまうような愉快な図像の裏側に、幾重にも精神的な屈託が織り込まれているのです。美術に関心の有る人間にとっても、無い人間にとっても、彼の作品に触れることは非常に刺激的な体験となることでしょう。


(評者:ジュンク堂書店 池袋本店 芸術書担当 下田裕之)

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