重松清作品において、「異質」と…
重松清作品において、「異質」と言って過言でない。
直木賞受賞作である「ビタミンF」、ドラマ化され人気を博した「とんび」等、多くの作品で人と人とのつながりを描いている作者。
そんな作品に心打たれた方も多いはず。
一方、本作「疾走」には、そういったものが一切ない。
物語全体が二人称で語られ、主人公の少年を突き放す。
次々に起きる不幸な出来事、見出すことのできない救い。
それでいて、読み進める手が止まらない。
本作だけを読んで重松清を知ってほしくはないが、重松清を語る上で避けては通れない作品だろう。
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