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ジャズ・ミュージシャンの…

ジャズ・ミュージシャンの坂田明さんは、ご友人からのお中元にミジンコ観察用の顕微鏡を贈られるほど、ミジンコの魅力にとりつかれた方。過去にもミジンコに関する著作がある。
今回は、その著作を改訂。レンズの向こうで透明な体、つまり「いのち」そのものを見せてくれるミジンコへのいまだ尽きない純粋な興味、思いを書き、ミジンコ研究の専門家たちと語り、奏でる。
奏でる、とはこの書籍、坂田さんによる水棲生物たちに捧ぐ名演「海」のCDまで付いているため。

陸水生態学やミジンコゲノム研究の専門家たちとの対談で語られるのは、ミジンコが湖や池の食物連鎖の底辺を支えていること。そのため、環境や生態系の保全を考える上で重要な生物であること。また、ミジンコから発見された遺伝子がゲノムの働きを知るための大きなヒントを持っているかもしれないことなど。様々な側面において、ミジンコの存在は大きいと言える。

目を凝らしても姿がつかみきれないミジンコから、私たち生物の「いのち」を見せてもらい、自分たちをとりまく大きな世界をも見せてもらえる。
坂田さんと一緒に顕微鏡を覗いているような気持ちで、目の焦点を近く、遠く、揺さぶられるかような世界認識を味わうことが出来るはずだ。


（評者：MARUZEN＆ジュンク堂書店　渋谷店　木戸）