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この本は…

この本は、私たちに物語を提供する様々な人々が、どんな手段でもって、どのように物語を創造し、それを私たちにどうのめりこませてきたか、について書かれた本である。

日本は特にマンガ、アニメ、ゲーム等々その手の物語には事欠かない。ましてそれらは「クール・ジャパン」だとかで世界に誇る輸出コンテンツ産業にまでなっている。
しかし、それらがなぜ私たちをのめりこませるのだろうか。そのために大金をはたき、膨大な時間を費やし、何よりも強い情熱を傾ける…。

この本では、多くの人をのめりこませてきたクリエーター達への取材によって話が進められていくが、何も何千何億の人たちをのめりこませる人だけが読む本ではない。今目の前にいる人に自分の声を届かせ、できれば熱心に聞いてもらうためにはどうするのか、という人と人との共生関係をうまく築くためのヒントが書かれているおり、コミュニケーション論としても重要な一冊だ。


（評者：ジュンク堂書店　池袋本店　人文書担当　森暁子）