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アラブの近現代史を知る上で・・・

アラブの近現代史を知る上で格好の良書が発行された。そのタイトル通り、十六世紀のオスマン帝国による統治から、冷戦以降までの500年に渡るアラブ人の歴史をまとめたものである。

本書は上・下巻を合わせると800ページを超える大著でありながらも、非常に読みやすい内容となっている。それもそのはず、著者は本書を著述する際に、年代記作成者の記述よりも当時の知識人やジャーナリスト、時には床屋の日記まで、広範囲に渡る資料を駆使することで、内容に多様性と深み、そして何より面白味を出すように努めているからである。おかげで予備知識を持っていない人でも、本書の持つダイナミックで豊かなアラブの魅力を存分に堪能することが出来るだろう。

中東世界に興味のある方はもちろん、これからの国際社会を考えるうえでも是非読んでもらいたい。


（評者：ジュンク堂書店池袋本店　人文書担当　田山）