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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

丸善
丸善|丸の内本店

「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代 (青弓社ライブラリー)鈴木 智之 (著)

「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代(青弓社ライブラリー)

1990年代以降・・・

1990年代以降、主婦、少年、エリートが起す凶悪犯罪が多く報じられ、このような一般に犯罪とほど遠い(そうあるべき)人々の犯行動機に「心の闇」という言葉が頻繁に使われるようになる。「心の闇」とは犯罪をはじめとする逸脱行為をめぐり、その行為者の内面・動機が“よく分からないもの”“よく見えないもの”として私たちの間に強い不安感を喚起し、その逸脱者を社会における例外者として疎外する反応を方向づける言葉だ。それらの報道の典型的なパターンは、「心の闇」の解明を訴えながら最後は「まだその闇は払われていない」などとその解明を常に先送りにし、私たちの中に漠たる不安を置き去りにする。それは行為者を例外者として措定することで、動機が分かってしまえば自分自身が「第二の逸脱者」になりうるという別の不安を隠蔽する戦略でもある。

思考停止たるこのような戦略に対して、私たちはどのように立ち向かえば良いのだろう?さまざまな主体間の状況やコンテキストを捨象する「論理‐科学的」な語りではなく、他者との対話の中で出来事の成り立ちを語り合う「物語」の力の復権こそ俟たれる、という著者の提言に共鳴する。

この本は「動機規則」「動機の語彙」という視点からこれらの語りと私たち受け手の反応が創り上げる「排除型」社会モードを解明し、他者を理解し関係を再構築する方途を探る。広く社会コミュニケションのあらゆる場面に反省と展望が啓かれる本だと思う。


(評者:丸善 丸の内本店 宮野源太郎)

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