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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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ジュンク堂 仙台ロフト店店員

書店員:「ジュンク堂書店仙台ロフト店」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|仙台ロフト店

隅の老人の事件簿 (創元推理文庫)バロネス・オルツィ (著)

隅の老人の事件簿(創元推理文庫)

「最後まで」目が離せない傑作の短編集。

極めて特異な作品です。
時は1900年代初頭のイギリス、舞台はストランドにある喫茶店「ABCショップ」。
そこを訪れた女性新聞記者ポリー・バートン嬢に、世間を騒がしている様々な迷宮事件の真相を解き明かしていく謎の老人。
そうです、この老人が「隅の老人」なのです。

一見難解な事件の謎を次々と暴き、その犯罪者の計略を賞賛し、司直の手には殆ど委ねず、ただ己の推理力に酔いしれる。
本名、年齢、職業、経歴は一切不明、常に手にした紐を結んだり解いたりしながら、己の推理を居合わせたポリー嬢に興奮して捲し立てる老人。
正義の為ではなく、ただ己の才能の為に真実を導き出す孤独な老人。
それが、この作品の主人公「隅の老人」なのです。

もっとも、こう書くとかなり奇怪な人物に思えるかもしれませんが(まぁ実際かなり奇怪なのですが)、作中では割とお茶目な一面も見せてくれます。
チーズケーキとミルクをチビチビ食べたり(もちろんガツガツ食べる時もあります)、早くポリー嬢に自分の推理を言いたくてそわそわしたりと、中々憎めない姿を垣間見せてくれる場面も多々あります。

作品は殆んどが上記の喫茶店で展開されるため、まるで舞台劇を見ている様な不思議な臨場感が全体に感じられます。
その為か、良く安楽椅子探偵と紹介される事もありますが、その敬称は読まれた方の判断にお任せしましょう。

孤独な天才の活躍に、文字通り「最後まで」目が離せない傑作の短編集です。

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