書店員レビュー一覧
丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。1~20件目をご紹介します。
書店員:「ジュンク堂書店三宮駅前店」のレビュー
- ジュンク堂書店
- ジュンク堂書店|三宮駅前店
あしたも、さんかく 毎日が落語日和 (文学の扉)安田 夏菜 (著)
できれば三世代で読んで欲しい物語。
クラスを盛り上げようと一人であれこれ頑張る圭介。でも、それをクラスのみんなからはありがた迷惑と言われて落ち込んでいる。そんなところへ、以前圭介のためにお母さんが貯めていたお金を自分の落語会のために使いこみ、そのことでお父さんと大喧嘩して以来行方知れずだったおじいちゃんが現れる…。
頭に思い浮かんだことをそのまま口に出し、行動するのが子ども時代なのだとすれば、周りの人が思っていることを察して出来るだけ不快な思いをさせないようにするのが大人、ということなのか?と、「空気を読め」と圭介が言われた場面で考えさせられました。圭介のおじいちゃんは、まさに子どもがそのまま大きくなってしまったような人。そのために苦労させられたお父さんとの親子関係の問題とか、おじいちゃん自身の「落語」という芸に対する思いや生き方がどんな風に変わっていったか、など、大人が読んでも、むしろ大人の方が、考えさせられたり励まされたりすることが多いのでは、と思った作品でした。
児童書担当 池畑