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映画はお好きだろうか。

映画はお好きだろうか。個人的な話で恐縮だが、好きな鑑賞方法にテーマを決めて映画を観る「○○祭」がある。筋肉祭や美女祭。俳優ごとに観るのは定番だ。本著者曰く、ウィスキーは「演技派の名脇役」。なんと。この俳優は完全にノーマークだった。

今回は「ジャック・ダニエル」氏の活躍を拝見しよう。テネシーウィスキーの代表格である氏は、黒地に白文字のラベルで「銀幕の中で絶妙に映える」。
まずは「シャイニング（1980年）」。逆立ったジャック・ニコルソンがドアから顔を覗かせている画はご存知だろう。狂気に拍車をかける魔酒として登場し、映画全体のおぞましさ増幅させている。次に「セント・オブ・ウーマン（1994年）」。主人公である目の不自由な退役軍人の愛飲酒として登場。アル・パチーノは本作で浴びるように飲み、念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得した。
どちらも素晴らしい映画であるが、同じウィスキーでも使われ方の違い、登場人物がそのウィスキーを手にした必然性は全くもって違う。
本書は47作品を取り上げ、007から寅さんまでそれぞれのウィスキーとの関係性を解説してくれる。

さあ、本著で「ウィスキー祭」を体験してみてはどうか。ウィスキーを用意したりして。


（評者：ジュンク堂書店池袋本店　中島）