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そっと背中を撫でてくれる1冊

著者がこの本を書いたきっかけは、親しい友人が「自由になりたい」と自ら死を選んだことでした。彼が自由になるために、死ぬ以外の道はなかったのか。どうすれば彼のような人間がこの社会で生き続けられたのか。この本はそんな問いに答える本です。

「頑張る」という前向きな言葉に励まされることもありますが、逆にその言葉に傷ついたり、窮屈さを覚えたりする人もいると思います。この本は、そんな人たちへ、後ろ向きに生きる自由を与えてくれます。後ろ向きでも生き抜くしぶとさを持つことが大切なのだと教えてくれます。

春は新生活がはじまる希望の季節です。ただ大きな希望を持ったぶん、理想と現実のギャップに悩むこともあるかもしれません。そんな時にそっと背中を撫でてくれる1冊になるはずです。


（評者：ジュンク堂書店池袋本店　文芸書担当　田村友里絵）