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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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ジュンク堂 三宮店店員

書店員:「ジュンク堂書店三宮店」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|三宮店

とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢 ジョイス・キャロル・オーツ傑作選 ジョイス・キャロル・オーツ (著)

とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢 ジョイス・キャロル・オーツ傑作選

揺りかごから墓場まで。

 初めて読んだとき、あれ、宮部みゆきだ、と思った。幻想、ミステリー、ホラー、児童文学など幅広いジャンルにまたがり、長編、短編どちらも難なくこなす。驚くほど多作で、社会問題など現代の世相にも鋭くメスを入れる女性作家。通算三十五作目の短編集(!)となるらしい本書の著者ジョイス・キャロル・オーツとの共通点は多い。
本書は「悪夢」をテーマとし、一九七六年から二〇一一年の作品から自身が選んだベスト作品集。ただしピンクの内装や水玉模様のオビにだまされてはいけない。もっと多くのものを含んでいるのだ。
十三歳の少女たちの幻想をめぐるサスペンスフルな「とうもろこしの乙女」に始まり、九歳の女の子、中年男、双子の兄弟、初老の未亡人など、主人公たちの年齢も職業も本当にさまざま。「揺りかごから墓場まで」どんな人物を扱っても容易に、あるいは強制的に感情移入させられてしまう。
あくまで個人に寄り添い、嫉妬、憎悪、残虐性などマイナス感情を隠さず暴きたてる。幻想のかなたに飛び去ることなく過酷な現実に立ち戻り、冷徹でありながらも人間的で公正な視点で描ききる。挙げ句、悲惨な現実に我を失った人物の混乱ぶりには黒いユーモアさえわき出す。
作品はおおむね若年から老年へと、人生の経過を感じさせるように並べられている。著者の経験と想像力と技巧がぎゅっと詰まったこの作品集は、どの年代の読者にもお薦めできる。とりわけ宮部みゆきのファンのかたには。

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