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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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ジュンク堂 難波店店員

書店員:「ジュンク堂書店難波店」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|難波店

書物変身譚 琥珀のアーカイヴ 今福 龍太 (著)

書物変身譚 琥珀のアーカイヴ

書物と琥珀 植物のメタモルフォーゼ

空爆後の図書館の瓦礫の中の書物の骸。大震災が直撃した集落での本の不在。焚書による書物の消失。それらの風景は、「書物はかならず終わりのあるモノである」ことを、更には「身体性を備えた豊かな有機的存在である」という確信を、今福龍太の胸に刻印する。そこから今福は、書物がかぎりない変身能力を宿し、歴史を通じてそのことを表現し続けてきたことを、追跡していく。
 変身の、表現の主体は、書物である。書物は、決して人間主体の作物(さくぶつ)ではない。
『ウォールデン』は、まさに植物の書物への変身をソローが媒介したに過ぎない。ジョン・ケージはそのソローを受け、キノコだけでなくすべての音を収集する。
 本の裏側に姿を隠そうとしたソンダク、そしてロラン・バルトの日記は、彼らの死後書物へと姿を変え、カフカの中長編の殆どは、死後出版されたものである。
ナボコフは「本のなかの〈私〉は本のなかでは死なない」と書き、レヴィ=ストロースは「私が自分の本を書くのだと言う感じを持たない」と語った。
 遡れば、生命連鎖の円環的な時間を樹木がしるした年輪こそ書物の原初であり、人類が誕生する遥か以前に羽虫を閉じ込めた琥珀(=鉱物化した樹液)から始まる書物の長い長い変身の歴史を動かすのは、祈りにも似た書物の意思なのだ。
 その途上、アナログが必然的に作り出す生の彷徨、迷い、揺らぎ、交差、錯誤、失敗を、樹木の変容態である紙ならぬ電子ディスプレイ上のデジタルに、担いきれるだろうか!?

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