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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示

ジュンク堂 三宮店店員

書店員:「ジュンク堂書店三宮店」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|三宮店

みちのくの人形たち 改版 (中公文庫)深沢 七郎 (著)

みちのくの人形たち 改版(中公文庫)

探偵バカボンパパの奇怪な冒険

 西陽の射す狭い畳の部屋で、とびきりシリアスな顔のバカボンパパが、こちらをじっと見据えながら物語を語りはじめる。パパの顔は半面陰になり、畳の上の影は少しずつ長くなる。時おり冗談めいたことを口にするが、笑いに至るわけでなく、むしろ寂しさと優しさをたたえた黒い点のような目が、こちらを見透かしてどこか遠くの空を見るように澄んでいる。

 読んでいる間じゅうこんなイメージが浮かんで離れなかった。文末が「~のだ」、「~なのだ」と繰り返され、扉に載った著者の風貌があのTVマンガのキャラクターを思い出させるのだ。たしかあのマンガではパパは自分ではほとんど笑わなかったと思う。観ているこちら側が笑っていただけだ。
 それは本書でも同じだ。決して人を笑わせようとしているわけではないけれど、どこか憎めない、可愛らしくも思えるこの老主人公の物語に口元を緩めてしまうのだ。
 
 ふとした会話の成り行きから、空想の切れはしから、偶然の出会いから「パパ」こと「私」は旅に出る。魅入られたように、ごくあっさりと。「もじずり」という草花を見に出かけた東北の寒村で目にする奇習、九州博多での人形にまつわる、語られることの無かった「夢」、野蛮で荒唐無稽なアラビアの寓話の世界、猥褻だと噂される画家の絵をめぐる破壊的妄想、大雪山のふもとでの原住民との出会い・・・・・・
 人と人とのがりの中で、出会って交わした少ない言葉を探り、その意味を求める。目を背けたくなるような「生」の暗闇の中へ、人間の業の深い深い底のほうへと分け入っていく。
 話しことばと書きことばが混じりあい、会話文や古い詩のことばとも戯れ合って、悲しみも喜びも怒りも恐れも練り込んだひとつの「混沌」が、「生きているもの」の「秘密」を「曝露」する。
 もし「パパ」の語りがなければ、この救いようのない物語は成り立たなかっただろう。もし仮に出来たとしても読むに堪えないものとなっていたに違いない。

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