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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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ジュンク堂 ロフト名古屋店店員

書店員:「ジュンク堂書店ロフト名古屋店」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|ロフト名古屋店

天正壬午の乱 本能寺の変と東国戦国史 増補改訂版 平山 優 (著)

天正壬午の乱 本能寺の変と東国戦国史 増補改訂版

武田遺領を舞台とした騒乱をまとめあげた労作

 本能寺の変が起こった後、徳川家康は伊賀越えを決行して本国に戻った。次に家康がクローズアップされるのは小牧長久手の戦いであろう。その間、家康は何をしていた?彼はいつの間にか秀吉の壁となるような大大名になっていたわけではない。そんな家康(と息子の秀忠)を上田で2度もきりきり舞いにさせたのは真田昌幸である。武田に仕えていた真田も突如として上田に現れたわけでは勿論ない。しかし、戦国史好きでも家康が大大名として飛躍する過程や、真田が上田を本拠として無視できない勢力となっていった理由を詳細に知っている人は案外少ないのではないのだろうか。
 本能寺の変の影響によって、織田軍団が旧武田領から消えた。権力の真空地帯となった武田遺領をめぐり、勢力伸長を目論む徳川氏と北条氏。織田の攻勢によって滅亡寸前となっていたが、この機に失地回復を目指す上杉氏。これら大名たちのみにとどまらず、旧領回復し再興を期する小笠原氏や諏訪氏。そしてここでも表裏比興の本領を発揮する真田昌幸。こうした諸勢力の思惑が交錯した武田遺領は、わずか数ヶ月の間に、めまぐるしく情勢が変化していった。
 天正壬午の乱はこうした一連の騒乱を指し、この本はプロローグにあたる武田氏滅亡から、一応の騒乱決着となる徳川と北条が和睦までを、史料を読み説きながら丹念にまとめあげた労作である。テーマ自体も面白いが、単著としてこの騒乱をまとめた本は他にはないのではないだろうか?増補改訂版ということで、旧版刊行以降に発見された史料や研究成果が盛り込まれている。武田遺領を舞台に海千山千がひしめきあう数ヶ月の記録は、戦国史に興味がある人であればきっと楽しめるはずだ。
 さて、徳川と北条の間で和睦が成立し、一旦は収束したかにみえたが火種は残った。これが後の秀吉による小田原征伐の伏線にもなるのだから歴史というのは面白い。続編にあたる『武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望』(戎光祥出版)も気になって仕方がない。

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