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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示

書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

崖っぷち町役場 (祥伝社文庫)川崎 草志 (著)

崖っぷち町役場(祥伝社文庫)

過疎の町はどうすれば復活できるのか!?崖っぷちな町役場を舞台にしたお仕事ミステリー

愛媛県にある南予町、その町役場に勤め始めて二年目の沢井結衣は、窓際部署とも噂される『推進室』へと配属される。何をするかもよく分からないその部署にいたのは、狸似な室長の北耕太郎と、一ツ木幸士という変人な先輩。やることがほとんどないせいで、室長と一ツ木が勤務時間に将棋を指してばかりいる推進室だが、たまに舞い込む仕事は決まって厄介な問題ばかりで……。

『長い腕シリーズ』の川崎草志によるお仕事ミステリー。長い腕と同じく愛媛が舞台(川崎草志は愛媛出身)かつ女性主人公ではあるものの、こちらはかなり明るいテイストの作品で、いわゆる人の死なないミステリーとなっています。ストーリーとしては、変人な探偵役に振り回される常識人な語り手というミステリーのお約束を踏襲しているのですが、過疎化が進みつつある町とその役場という設定が巧い変化を与えており、ありがちな展開では終わらせません。過疎化を回避するために打たれた手が問題を引き起こし、その解決のために奔走する結衣たちの姿からは、市町村合併や少子高齢化という、現代日本の諸問題をあらためて感じさせられます。

推進室のメンバーだけでなく、ぼんくらと陰口を叩かれている町長やなぜか一ツ木のことが気になっている様子の美人な町長秘書、はては様々な問題を持ち込む新旧住民たちなど、個性的な人物ぞろいの本作ですが、そんな面々の中で調整役として踏ん張るのが、主人公で語り手も務める沢井結衣。基本は一ツ木に振り回されている結衣ですが、その役目はただのつっこみ係で終わりません。人当たりの良い性格もさることながら、さらに重要なのはその絶妙な立ち位置。自身も余所の町の出身であるため新しい住民の気持ちが理解でき、その一方で昔から長い休みの度に祖母の家がある南予町に遊びに来ていたため古くからの住民の気持ちも分かる。そんな結衣が住民や一ツ木の間に立つことで、巧い具合に厄介事の当事者たちから話を聞き出していきます。物語の進行とともに少しずつ成長していくのが分かる人物でもあり、読んでいて気持ちのいいキャラクターです。

お仕事ミステリ―として秀逸な完成度であり、過疎の町というものについて知るにも非常に読みやすい作品となっていますので、興味を持たれた方は是非ご一読ください。

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