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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

恋糸ほぐし 花簪職人四季覚 田牧大和 (著)

恋糸ほぐし 花簪職人四季覚

優しすぎて人を傷つけてしまうけれど、 優しさで人を救うこともできる。

優しすぎる男の奮闘を描いた連作時代小説。
仕事場を失い、住んでいた長屋も追い出されてしまった花簪(はなかんざし)職人の忠吉。
そもそもは優しすぎるから。
途方に暮れているところに手をさしのべてくれたのは、子どもの頃に世話になっていた寺の杉修(さんしゅう)和尚。

花簪職人としての仕事はもちろん続けるが、寺に住まわせてもらうかわりにやらねばならぬこともある。寺男として料理をすること。そしてもうひとつ、さきという少女の心をほぐしてあげること。
寺にひきとられているさきは十歳ばかりの少女。心を閉ざしていて耳も聞こえず、声も出せない。そんなさきに忠吉はゆっくり受け入れてもらおうと優しく語りかけ、飯をつくる。
さきが少しずつ忠吉に心を許していく様子は本当にかわいらしくて、自然に顔がほころんでしまう。

寺に持ち込まれるちょっとした悩みや愚痴。かつては和尚がやっていたその聞き役を命じられてしまった忠吉。厄介事が絡んでいても、聞くだけでいいというより聞くことしかできない。優しすぎて動けない。かわりに動くのは幼馴染みで住職の以風(いふう)。こちらは気が短すぎて怒りっぽく聞くことができない。すぐ口や手が出てしまう。二人でようやくなんとか一人前。なんとかことを収めても実は杉修和尚の掌の上転がされている。そんな三人の関係性も楽しい。

こじれてしまった心は容易にはほぐれないけれど、忠吉はまわりの人々の手も借りて、気持ちを一歩踏み出す手助けをしてくれる。読後あたたかな気持ちになれる一冊。

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