サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. 店舗情報
  3. 書店員レビュー一覧

書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示

書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

人工知能の核心 (生活人新書)羽生 善治 (著)

人工知能の核心(生活人新書)

羽生善治が視る、人工知能の最前線と未来

本書は2016年5月に放送され、第58回科学技術映像祭・文部科学大臣賞を受賞した、NHKスペシャル『天使か悪魔か——羽生善治 人工知能を探る』での取材をもとに、羽生善治が自ら書き下ろたものだ。その内容は単なる番組の文章化ではなく、それをもとにさらに深く踏み込んだものとなっている。取材を通じて羽生が感じたこと、考えたことが細かに描写されており、その語り口は読者の目を意識したものであり、非常に分かりやすい。

第一章は、「アルファ碁」の開発者である、ディープマインド社のデミス・ハサビス氏との対話をもとに、現在の人工知能の能力と開発環境について書かれている。
囲碁界のトップ棋士の一人であるイ・セドルが、「アルファ碁」に1勝4敗で敗れたというニュースは、2016年3月当時の囲碁・将棋界を震撼させたが、本書における羽生・ハサビスの対話が行われたのは、なんとその1か月前である2016年2月のこと。直前に取材していたはずの羽生善治でさえも予想外であった、イ・セドルの敗北。その結果を生み出した要因の一つである「ディープラーニング」についての解説は、非常に興味深いものであった。

第二章・第三章は、人間と人工知能・ロボットの違いをテーマにしている。
第二章では、人間にあって人工知能にないものとして、「美意識」という観念が挙げられている。将棋を例に、経験から「形の良し悪し」を直観的に処理する人間と、計算で「一手の良し悪し」を判断する人工知能。その思考プロセスの違いについて記されている。
第三章に登場するのは、ソフトバンク社が開発している「pepper(ペッパー)」を初めとするロボットだ。これまでは将棋や囲碁の盤面という「二次元での思考」であったものが、「三次元での活動」に切り替わってくると、途端に状況は変わってくる。実際に単独で行動させるとなると、人間の五感に相当するモノに加えて感情や倫理観を理解させなければならないからだ。ロボットには接待が出来るのか、ロボットは人に寄り添うことは出来るのかといったテーマを切り口に、人工知能を搭載したロボットの現状が解説されている。

第四章では、現在の人工知能開発現場での課題である「汎用性」、これまでの章でも度々語られてきたいわゆる「なんでもできる」人工知能についてより踏み込んでいる。
現状の人工知能というのは、おおよそ何かの分野に特化しているモノであり、他の分野に対しての応用をほとんど行えない。つまりここでいう「汎用性」というのは、パソコンのOSのように、一つのプログラム(人工知能)で様々な作業を、自律的に行えるようにするということだ。「フレーム問題」に見る判断力、「チューリングテスト」に見る言語など、現在の人工知能の問題点が深く説明されている。

最終章である第五章は、人類と人工知能の未来の話だ。羽生善治が取材を通じて感じ、考えたことがまとめられている。
私たち人類は、人工知能と共存共栄するために、急速に発達している人工知能をどう活用すればいいのか。また、どのように付き合っていけばいいのか。羽生善治なりの結論を知ることが出来る。

本書で一貫して描かれているのが、人間と人工知能の対比である。人間に出来て人工知能に出来ないこと、その差が少なくなれば人工知能はより人間に近づき、人工知能にしか出来ないことを人間が出来るようになる未来が訪れるかもしれない。ついに現役の名人が人工知能に敗れ、追いつめられた将棋界。そのトップ棋士の一人が感じているのが、失望ではなく希望であるというのは、非常にすばらしいことだと思える。

100 件中 1 件~ 20 件を表示