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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

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書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

ジュンク堂
ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

うた合わせ 北村薫の百人一首 北村薫 (著)

うた合わせ 北村薫の百人一首

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年6月号より

短歌なぞとは縁のない若造だが、北村薫のファンゆえ読んでみた。
著者の選んだ二首が冒頭に置かれ、それに著者自身の随想が続く。全部で50章あるので短歌は100首。
まず短歌のカップリングに驚く。

《シースルーエレベーターを借り切って心ゆくまで土下座がしたい》斉藤斎藤
《疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた、ま、りあ、りあ、りあ》葛原妙子

そしてこの章は「祈り」と題されているのである。一体何のことかと随想のほうを読んでみれば、話はジョージ・エリオットやら『罪と罰』やらへ次々と飛び、それでいていつの間にか冒頭の短歌へ戻っている。そして読者は二首の間の隠れた符合と対照に気づかされる。さすが熟練のミステリ作家。思わず前のページに戻って読み返してしまう。
著者は言う。「ある歌とある歌を結ぶ断ち切り難い糸が、自然と見えたりする。無論、わたしにとっての糸だ。歌と歌が向かい合い、背を向け、またある時は、こちらの丘とあちらの丘の頂きのように遠く離れ、しかし、確かに響き合う。そういう音を、わたしは聴いた。」
われわれ読者もまた、本書を通じて「そういう音」を聴く。有名な歌も、著者の手にかかると全く新しい音を響かせる。みんなの国語の先生こと北村薫に導かれ、五・七・五・七・七の小宇宙に心ゆくまで浸ろう。

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