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書店員レビュー一覧

丸善・ジュンク堂書店・文教堂書店の書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示

書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

ジュンク堂書店
ジュンク堂書店|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

父子ゆえ 摺師安次郎人情暦 梶 よう子 (著)

父子ゆえ 摺師安次郎人情暦

待ってました!(…いえ、実はあきらめていました。)

前作『いろあわせ 摺師安次郎人情暦』から八年ぶりのシリーズ新作『父子ゆえ』。

主人公・安次郎は、名指しで仕事が入るほどの腕を持つ浮世絵摺師。
寡黙で実直。女房に先立たれ、息子の信太とは離れて暮らしているけれど、いつも心にかけている。

めったに会えない父と子。たまにいっしょに過ごすやりとりがあたたかくて、でもすぐにお別れがやってくるというのが切なくて、寂しい気持ちになってしまう。
それというのも信太がほんとうに健気でいい子だから。ついつい肩入れしてしまう。
安次郎いっしょに暮らしてあげてくれ…!と一読者ながらやきもきしてしまう。

今作では信太に起こった一大事をきっかけに安次郎が決断を下す。
父子がどう乗り越えて向き合っていくのか。不安よりも期待がふくらむ清々しい読後感が味わえる。

一方、江戸の生業小説としても楽しめる本作。

浮世絵は、絵師が絵を描き、彫師が版木に彫り、摺師が紙に摺り出来上がる。
今日では、絵師の名以外はなかなか知ることはできないけれど、あの美しい浮世絵は絵師だけでなく、彫師、摺師の腕にささえられていた。

前作ではじめて摺師という言葉を知り、その繊細な技を読み、鳥肌が立ったのを覚えている。
今作でも職人の技と浮世絵の仕上がりの描写には夢中になってしまった。
浮世絵の世界への興味をかき立てられずにはいられない。

ぜひ前作『いろあわせ』(ハルキ文庫)とあわせてお楽しみを。

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