本好きなあなたに贈る、とっておきの1冊

ご愛読ありがとうございました！
本を愛するすべてのひとへ、とっておきの1冊を贈ります。
本を紹介してくれるのは、「この棚がすごい！」でおなじみの書店員3名と、最後まで表紙を飾ってくれた葵わかなさんです。
これまでhonto+を支えてくださった読者のみなさまに、感謝の気持ちを込めて。

丸善丸の内本店・児童書担当兼森理恵さんが贈る1冊

「繫がる」は私の人生のテーマ。普段から読者と本との繫がりを大切にし、自分が本から感じたことを誰かと共有できたらと、売り場でも誌面でも発信を続けています。
絵本『の』を読んで、「の」のような存在になりたいと痛切に思いました。
私の「の」から繫がった読者の方が、さらに別の誰かに新たな世界を繫げてくださったら、こんなに嬉しいことはありません。
これからも、本を通してみなさんと繫がっていけますように！

「わたしの　お気に入りのコートの　ポケットの中のお城の……」。「の」に導かれ、終わりのない旅へ。普段は存在にもなかなか気づかない、つつましやかな「の」が紡ぐ壮大な世界。「の」が、まるでリボンのように美しく誘う。これは魔法です。繫がる幸せと、未知の世界の体験を。「の」があるかぎり、人生はふくよかで、終わりがないのです。

MARUZEN＆ジュンク堂書店梅田店・漫画担当八木泉さんが贈る1冊

「この棚がすごい！」の連載開始から、毎月棚を紹介してきました。
毎月ですからそりゃまあ、ネタに困ることもありました……。
でも、この連載があったからこそ、毎月コミック売り場を賑やかにできたのも事実です！
連載が終わっても、当店の話題書は引き続き盛り上げていきますので、ご来店お待ちしております！

最強の殺し屋はゆるふわガール！痛快バイオレンスアクションコミック！最終号で贈りたいコミック、悩みました。2017年から、私の中で不動の1位は、『バイオレンスアクション』と『ザ・ファブル』南勝久（講談社）です。『ザ・ファブル』に関しては今年実写映画化もされましたので、ラストはこちらを贈りたいと思います。honto+連載中にずっと1位を死守した（私的）最高の作品をぜひ！

ジュンク堂書店吉祥寺店・文芸担当田村知世さんが贈る1冊

フリーペーパー戦国時代の昨今、honto+を手に取ってくださる方がとても多く、自分の棚が掲載されているのも相まって、正直配布する側としても得意気でした。
拙い紹介棚ではございましたが、ご覧頂き、1冊でも興味を持って頂けたのなら、こんなに幸せなことはありません。
たくさんの書店が、手描きPOPや渾身の棚を、情熱の名の下に毎日作り続けています。
これからも是非、そうした書店に足をお運びください。お待ちしております。ありがとうございました。

小川洋子さんの著作のなかでも、とびきり冬にぴったりの1冊。6篇のなかで「移動する」彼らの、不思議で美しく、切ない物語。大切な約束事を守るかのように静かに生きる彼らに流れる空気は、冬の日、肺に沁み入る呼吸のようで背筋が伸びる。私も、書店の先輩に小川洋子さんを勧められたことで、大好きな作家さんが1人増えた。私がかつて受け取ったバトンを、本好きな方にお渡しできることが大変嬉しいです。

女性性について興味があります。男女の社会的立場も変わる今、女性の考え方にも変化が起こっているように感じます。『ナイルパーチの女子会』では、専業主婦と、大企業で働く女性の2つの立場から「女性の醜さ」が描かれます。でも、喜んだり悲しんだり、嫉妬したり執着したり、ゆらゆらドロドロ揺れ動く女性の「醜さ」が、美しくもあります。

『生のみ生のままで』は、honto+のアートディレクター・名久井直子さんが、私に贈ってくれた本。こちらも、女性の愛や未来についての美しさが描かれています。偶然出会った2人の女性が本物の愛に落ちていく姿に、こんなに胸打たれ、共感するなんて……。同性愛を描いた作品のなかでも特に本作が素敵なのは、同性愛を特別視せず、あくまで愛についてのお話であることです。

プロフィール

あおい・わかな
1998年神奈川県生まれ。2009年女優デビュー。NHK連続テレビ小説「わろてんか」では、ヒロイン・てん役を演じるなど、出演作多数。20年1月24日（金）より映画『キャッツ』日本語吹き替え版に出演。20年3月1日（日）より上演のミュージカル『アナスタシア』にて、Wキャストとして主演を務める予定。