『ちはやふる‐結び‐』(原作:末次由紀『ちはやふる』)、『坂道のアポロン』(原作:小玉ユキ)、『曇天に笑う』(原作:唐々煙)など、2018年も漫画を原作にした実写映画が多数公開予定です。
実写化の報道があると、ファンからはたいてい賛否両論の声が上がります。とはいえ、実写化に否定的な意見を述べているファンの中にも、映画館まで足を運ぶという人が一定数存在するようです。
では、実際のところ、漫画をよく読む人たちは原作の実写映画化をどのように捉えているのでしょうか。
今回は、漫画をよく読む※15~44歳の男女400名(男女それぞれ200名ずつ)を対象に、漫画の実写映画化に関する意見を調査したところ、ファンの複雑な本音が浮き彫りになりました。
※「漫画をよく読む」の基準について
「紙か電子媒体で月に1冊以上は単行本や雑誌などの漫画を買って読んでいる」もしくは「週に1回以上は漫画アプリで漫画を読んでいる」に該当した人に限定。
Q1好きな漫画が実写映画化されると嬉しい?
15歳~44歳の男女400人に「嬉しい」「どちらでもない」「嬉しくない」の3択で回答
結果を見てみると、自分が好きな漫画が実写映画化されることに対して「嬉しくない」と思っている人の割合が、「嬉しい」と感じる人よりもわずかに多いことがわかります。やはり、好きな漫画の実写映画化が決まり、複雑な気持ちになる人は多いようです。
Q2好きな漫画が実写映画化されたときに、
映画館まで見に行ったことはある?
全体の結果では、男女ともに「ある」と答えた人が45.5~46.0%と半数近くに上る一方、「ない」人が54.0~54.5%と半数をやや上回りました。実写映画化自体に複雑な気持ちを抱えていても、実際に映画館へ足を運ぶ人は一定数いることがわかります。
特に30代男性は、全世代の中で最も多い53.9%が「ある」と回答しています。一方、20代男性で「ある」と回答した人はわずか26.3%です。学生を含む10代から20代の人は、実写映画に興味があっても、金銭的な理由などから「DVDレンタルになるまで待とう」「地上波で見よう」と考える人が多いのかもしれません。
Q3映画館まで見に行った理由は?
男女ともに最も多かった回答は「原作が好きだから」で、70%以上となっています。実写映画に対する期待はさておき、「作品が好きだから、映画を見に行く」という人が多いようです。
次に多かったのが、「キャストが原作のイメージに合っていたから」という回答です。漫画のキャラクターと演じるキャストのイメージがマッチしていた場合、「どんなふうに演じているのか見てみたい」という気持ちが起こるのかもしれません。
また、「キャストに好きな俳優が出演していたから」という理由は女性の回答率が高くなっています。
Q4今まで見た実写映画のタイトルでよかった作品は?
これまで数多くの漫画が実写映画化されてきましたが、「映画館まで見に行ったことがある」と回答した人たちの中で、評価が高かった作品は上記の通りです。興行収入で好成績を収めた作品や、キャスティングの妙を評価されたもの、二部作・三部作と続けて公開された作品が並びました。
最も多くの票を集めたのは『るろうに剣心』でした。2012年8月に公開され、興行収入30億円を記録した第一作に続き、2014年には続編(二部作)が発表されました。三作の累計興行収入は125億円を超えたといわれています。
佐藤健さん(主人公・緋村剣心役)をはじめ、神木隆之介さん(瀬田宗次郎役)、藤原竜也さん(志々雄真実役)などが、役柄の見事なハマりっぷりに高評価を得ていたことから、満足したファンが多かったのではないでしょうか。本格的なアクションシーンも好評でした。
2位にランクインした『銀魂』は2017年7月に第一作が公開。小栗旬さん(主人公・坂田銀時役)や菅田将暉さん(志村新八役)、橋本環奈さん(神楽役)ら豪華キャストが見事に原作の世界観を表現したとして話題を集めました。2018年夏には第二作の公開が決まっていることからも、作品の人気ぶりと評価の高さがうかがえます。
続く3位の『デスノート』は、2006年6月に前後編が公開された作品です。主人公・夜神月とライバルの名探偵Lを演じた、藤原竜也さんと松山ケンイチさんの見事なハマりっぷりは記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。
4位以降には『進撃の巨人』をはじめ、2018年3月に三作目が公開予定の『ちはやふる』、上野樹里さんの再現度の高い演技が光った『のだめカンタービレ』が挙がっています。
ほかに人気が高かった作品には、『鋼の錬金術師』(原作:荒川弘)、『君に届け』(原作:椎名軽穂)、『賭博黙示録カイジ』(原作:福本伸行)などがありました。
Q5実写映画化した作品を映画館に見に行かない理由は?
男女ともに最も多かった回答は「原作の世界観と違うと感じたから」で、次が「キャストが合わないと感じたから」でした。
特にファンタジー作品など、二次元だからこそ許される世界観が好きな人にとっては、原作ならではの雰囲気やキャラクターのイメージが壊されるのを嫌うのかもしれません。
「地上波やDVDで見るので、映画館に行く必要はないから」という人たちも20%以上に上り、「そもそも映画を見ない」という回答も、男女ともに15%前後で見受けられました。
また、「好きな漫画が実写化されていないから」(33歳/女性)という人もいました。
Q6漫画を実写映画化するときに大切にしてほしいことは?
最も多かった回答は、やはり「原作の世界観」です。回答の理由としては、「漫画特有の世界観がとても大事だから」(44歳/男性)、「原作の雰囲気や設定を変えすぎて違和感があるケースが多い」(41歳/男性)、「原作を大事にしないと意味がないから」(31歳/女性)などの意見がありました。
次に多かったのが「原作のキャラクターのイメージに合ったキャスト」で、男性よりも女性のほうがキャストの選定を重視する傾向にあるようです。原作ファンの中には、「推しキャラ」が存在するほど作品を愛している人もいるため、イメージに沿ったキャスティングは外せないのでしょう。
Q7「この作品こそ実写映画化してほしい!」と思う漫画は?
1位に輝いたのは『ONE PIECE』です。ハリウッドで実写ドラマ化の予定はあるものの、日本ではまだ実写映画化されていません。『ONE PIECE』を実写化してほしい理由としては、「実写での戦い方がどうなるか楽しみだから」(39歳/男性)、「ストーリーが面白いから」(44歳/男性)などの意見がありました。
2位はバスケットボール漫画として一世を風靡し、いまだに根強いファンが多い『SLAM DUNK』です。「バスケットボールのブームを巻き起こした作品が、実写化でどうなるか見てみたいから」(30歳/男性)、「スピード感があって、爽快で、楽しそうだから」(39歳/女性)などが理由として挙げられています。
3位に挙がったのは、1979年から87年まで『週刊少年ジャンプ』に連載されていた格闘漫画『キン肉マン』です。個性豊かな超人が登場するストーリーが人気で、「超おもしろそうだから」(37歳/男性)、「超人をどのように描くか楽しみ」(43歳/男性)という意見のほか、「世界観を壊さずに成立しそうだから」(40歳/男性)という声もありました。
4位の『ドラゴンボール』は、『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009年)としてハリウッドで実写映画化されています。しかし、日本ではまだ実現していないため、「誰もが好きだから」(31歳/男性)、「世界観が優れているため」(44歳/男性)と、待ち望んでいるファンもいるようです。
5位の『NARUTO』については、挙げた理由として「世界的に有名な漫画で、もし実写になったら必殺技や忍者の世界観が見てみたいと思うから」(37歳/男性)という声がありました。
上位作品を占めたのはすべて、2018年で創刊から50周年を迎える人気少年漫画誌『週刊少年ジャンプ』の作品です。ジャンプ作品には、多くの人に愛される漫画が多いことが、あらためてわかりました。
Q8何を誰に演じてほしい?
まとめ賛成も反対も、原作を愛するからこそ
好きな漫画の実写映画化に対して、ファンの関心はよくも悪くも強いことがわかりました。特に、二次元だからこそ成立する漫画独自の世界観や、キャラクターを演じるキャストについては、こだわりを持つファンが多いようです。
「そもそも漫画を実写化してほしくない」という断固拒否派もいる中で、好きな作品が実写映画化されたときは映画館まで見に行くファンも半数近く存在することがわかりました。
2018年以降も実写映画化される漫画は数多くラインナップされています。気になるタイトルをチェックしてみませんか?
2018年上半期実写映画化タイトル
調査概要
- 調査タイトル:
- ライフスタイルに関するアンケート
- 調査期間:
- 2018年1月15日~1月16日
- 調査方法:
- インターネットリサーチ
- 調査対象:
- 全国15歳~44歳の男女400名
BACK NUMBER
- vol.01 あなたの読書時間、世の中と比べてみませんか?
- vol.02 読書男子はレディーファーストでロマンチック?
- vol.03 好きな漫画が実写映画化されたら観に行く?
- vol.04 働く女性の漫画事情
- vol.05 書籍購入の利用チャネル動向を調査
- vol.06 2018年上半期は女性20代~40代がヒットを支える!?
- vol.07 20~50代の会社員男性でビジネス書を最もよく読むのは部長職以上!
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