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不毛地帯 第一巻 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー131件

みんなの評価4.3

評価内訳

131 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

主人公の心

2011/06/25 18:20

11人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ついこの前、この不毛地帯もリメイクされ放映されていた。私としてはとても面白かったのだが、視聴率は振るわなかったらしい。昔、私の生まれる前であるが、放映されたときは人気だったようだから、なぜこの差が生じたのか興味深い。

 山崎作品は本当に素晴らしいものばかりなわけであるが、本書もむろん例外ではなく、珠玉といっていい。「白い巨塔」の舞台が大阪大学であったことは明らかなように、この「不毛地帯」もモデルがある。主人公の壱岐正は、瀬島龍三という人物であり、つい最近(2007年?)まで生きていた人物である。そして、近畿商事は当然のごとく伊藤忠商事で、東京商事はおそらく日商岩井(現、双日)ということになる。本書の事件の類も、それに近いものはあったのではないかといわれている。それだけに、なぜか非常に迫力がある。

 瀬島については、否定的評価と肯定的評価が分かれる。それはさておくとして、壱岐という人物は、総評としては素晴らしい男である。壱岐のような男が何人いるか。それにより国力が決まるであろう。テレビなどでは、「私は、少しは国の役に立てたのでしょうか・・」とシベリアに抑留され、死亡した戦友たちの墓に向かって述懐していたが、壱岐という人物とはそういう人物である。今の日本にこれほどの男がいるだろうか。いないから下り坂なのである。

 これは瀬島が実際になされた史実であるが、シベリア抑留で最低でも34万人の日本人が、超極寒の地での強制労働で殺されている。国際法上何の正当性もない事象であることは当然である。
 これはナチスに次ぐ大虐殺であって、ロシアにはドイツを非難する正当性など一分子も有りはしない。
 不毛地帯の最初では、ロシア人に苛められる日本人の姿が鮮明に描かれている。10代さかのぼればみんな親戚という日本人の先輩たちが、ロシア人に拷問され、遊び半分に殺されていく様をみると、合掌したくなる気持ちになる。

 壱岐は、そこの生き残りである。壱岐は大本営で作戦を立てていたにもかかわらず敗戦してしまったことから、強い責任を感じている。自分の半生は国家のためになることに尽くす。その決心が、壱岐の先ほどの述懐を生んだといっていいだろう。
 
 壱岐のような男は、少なくとも戦前は珍しくなかった。誰もが天皇陛下を尊敬申し上げ、国と家族を第一に思い、ひたすらに己を磨く。そのような男が多ければ、政治の腐敗など有りえない。腐敗というのは、現在の日本をみれば誰でも理解できよう。
 政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることではないし、言論を弾圧することでもない。政治の腐敗とは、政治家に愛国心がない状態である。政治とは、国民の幸福を最大化し、効率的に配分することが職責であり、それ以上のなにものでもない。そうだとすれば、政治家が何人愛人を持とうが、1兆円の賄賂をとろうが、それが国のためであるならば、政治の目的達成の上においては、何の支障もない。民主主義の観点からみても、無能で愛国心のない馬鹿(管直人や鳩山ブラザーズなど)より、愛人は何人もいるが有能で愛国心のある人物に政治を任せたいにきまっている。それにより、国民の税金は安くなるかもしれないし、間違いなく領土をかすめ取られたりなどは有りえないのだから。

 壱岐という男は、目的の為ならば賄賂も贈るし、情報戦も辞さない。しかし、国の利益がぶつかる場面では、正論は通用しない。まともに倫理を語ろうとすれば、壱岐の行為は多く非難に値する。しかし、己のためだけに生きて我慾を貫く生き方よりも、遥かに崇高で輝く生き方といえるのではないか。
 壱岐の、この生き方を、読者はどう見るか。いずれにせよ、その心は多くの読者の心を揺さぶるであろう。読後、読者の心に残る名作といえる所以である。主人公である壱岐の心は、読者も先を読まないと分からない場合が多い。その心をどう読み、手段を正当化できるか。出来るというのが私の結論だが、この問題は古典的なようで考えさせられる命題ではないだろうか。

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2009/05/11 23:31

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