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紙の本
社長100人に94人は会社をつぶしてしまう「できない社長」
2008/01/07 21:31
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
「採用の超プロが教える」シリーズの三冊目。
著者が経営する会社では企業の人事部門などの人材採用の支援を行なっている。そういうこともあり、著者がこれまで会った社長は3,000人を超えるという。著者自身も社長なのだが、タイトルにもあるように著者は会社を「伸ばす」ことができるのが「できる社長」だという。つぶすのは簡単だ。放っておけば勝手に会社はつぶれるもの。
しかし、社長一人の力だけでは会社は成り立たない。適切な資源の配分やよい人材の採用など経営戦略が必要だ。社長の仕事は多岐に渡ると想像するが、著者が採用が専門ということもあって、社長の人材観や採用戦略のようなものが本書のメインになってしまっている感は否めない。
社長は社員やその家族の生活まで背負っているわけだから責任は大きい。従って、それには「経営者としての最低限のスキルと経営哲学、社員がついてくるだけの人間性」が必要となる。「社長に魅力のある会社は学生の人気も高い」という。また、社員が成長できる会社が「伸びる会社」というのも納得できる。教育体制もしっかりしていて自分の成長が実感できるなら社員もやり甲斐がある。更にレベルアップしたいと思うようになる。そういう生き生きとした社員がいる会社に学生も惹かれるだろう。「企業の業績の伸びは向上した人材レベルがもたらす結果」との認識があれば、社長はもっと採用に金をかけ、力を入れなければいけないだろう。
経営にはビジョンが必要と言われるが、「社長の視力」のよさも大事だと著者は言う。それは視覚の広さ(持っている地図が大きい)、時間軸の長さ(器の大きさに比例)の2つ。最初からそれらの能力をもっていれば成功する確率は高いだろうが、それを身につけるためには経験も勉強も必要だ。会社をつぶさないためにも社長自身も学び、成長していかねばならないのだ。
最終章の著者の次の言葉が印象的だ。「働く目的などどこにもない。目的は自分で決めるもの」。探して見つかるものではないと突き放す。では、なぜ働くのか?「自分の人生を価値あるものだと思い込むため」というのは仕事観として興味深い。結局、人はそうやって自分を納得させながら生きていくのだ。論理的に説明をつけようとしても矛盾に気付くだけ。そこで真剣に悩んだら気が狂ってしまう。しかし何も考えず自分を誤魔化しながら、変化を避けながら生きていく人生では死ぬ直前に絶対後悔するだろう。自分探しもほどほどに。働くことに意味を見いだせなくても、兎に角まず行動を。
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