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上場企業のサラリーマン生活から身一つで夜の世界。ホスト業界に飛び込み、ナンバーワンになった男が書いた『ナンバーワン』になるための方法です。純粋にビジネス書として読むと様々な発見があることに気づきます。
今や、この本はホストの世界では世代を超えて読まれているバイブル的な本のようで、あるブログをのぞくと、若手のホストがこの本を持っている写真を持っているのを見ると、読み終えた自分には
「ボーイズ・ビー・アンビシャス」
とつぶやきたくなります。僕は実際のところはよくわかりませんが、テレビでホストのことが特集されるについて、彼らの存在が市民権を得始め、最近では彼らの人生がドラマやマンガにもなっていますが、彼の存在が大きな影響を及ぼしているということについて、もはや疑う余地はないでしょう。
本書は、「女心」のプロ中のプロである筆者がいかに「ナンバーワン」というものにこだわりぬいて「頼朝」というホストとしての自分を確立していったかということについて、率直な文体で赤裸々に語られております。やはり、筆者は東京六大学を卒業しているだけあって、実に文章がうまいと感じました。「モテる」ことが彼の仕事で、女性に対していかに寄り添って売り上げをたたき出してきたのか?ということが首尾一貫して語られているのですが、これがいわゆる「プレイボーイ」の自慢話だったら、途中で本を閉じますけれど、ここまで真摯な姿で「ビジネス」として取り組んでいるということを語られると、『これがどうやって自分のビジネスに活かせるか?』という解釈で読んでいったほうがためになるな、と感じました。
僕が一番心にズシーンと来たのは『二番』で満足するのか?それとも『二番』であることをこの上もなく悔しいと思えるのか?この違いがその後を大きく分ける、というところでした。個人的な話をすると、社会人になってからのスタートが最悪だったので、2番にでもなると『ま、いっか』と自分で自分に妥協してしまったことが何度となく思い起こされてきて、彼の『ナンバーワン』に対するこだわりの強さを読んで、
「あぁ、あそこでああいう風に踏ん張っておけば…。」
ということを思い出してしまいました。
この本は業界関係者以外は純粋にビジネス書として読んでいくと、『半自営業者』といわれるホストの世界が、実は今の会社組織で生きる人間とさしてかわらなくなってきたということを痛感するとともに、こういう社会を生き抜いていくためにも、彼から学ぶことは少なくないと思っております。