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迷信を信じるか信じないかではなく、せっかく迷信という不思議なものがあるのだから楽しんだらいいよ、という筆者の言い様はとてもよくわかる。
書いてある内容は「くだらない」と言ってしまえばそれまでの妄信を文化的に解釈したもの。
解説者が言う、普段の思考を覆すことは脳に快楽をもたらすという発想がおもろい。
脳の引き出しを作るのではなく、ニューロンの繋がりに新たな道を作ること、そのために読むとおもろい本のひとつ。
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過ぎし時代の迷信あれこれ……と共に、
クスッと笑える、ちょっとおかしなこぼれ話を蒐集した、
雑誌連載エッセイを纏めた本。
迷信とは「原因と結果が科学的因果関係で一筋につながっていない」(p.226)
ものの由、とか。
■杉浦日向子『百物語』其ノ五「狸の僧の話」の元ネタも登場。
松浦静山『甲子夜話』だった。
■トイレが鬼門に当たっていては困ると頑なに信ずる人に一言、
昔の和式はいざ知らず、今時は洋式なんだから、
座ったら鬼門に背を向ける格好になるんだし――には笑った。
■エイプリル・フールの本来の趣旨について。
嘘によって他者に「無駄足を踏ませる」のが胆(きも)だった、
とは知らなんだ。
viva 無駄知識(笑)!
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現代まで言い伝えられている迷信を、古今東西の戯曲や故事を参照しながら由来と意味を調べるだけでなく突っ込んでいく、博物エッセイ。
超常現象や魔法に関わる博物エッセイというと、やはり澁澤龍彦の右に出るものはいないと思うのだが、あちらがたおやかでスルリスルリと進むのに対し、こちらはかなりパワフルに話が進む。なお、パワフルな文章だが、シブタツには負けない丁寧で読みやすい文章であるため、負けず劣らず面白く読めるはずだ。
前半部分は故事、古い戯曲からスタートするという手前、迷信としてはぼんやりしたものが多いものの、媚薬を境に具体的な話が多くなって、ことさら面白い。
「一富士二鷹三茄子」が徳川家康由来であるだけでなく、実は茄子は別のものを刺していた、なんてのは、読んでからこう喋りたくなるじゃないですか。シブタツのだとそこまで行かないんですよね。
電子書籍でも購入できるようなので、あれば購入をおすすめしたい1冊。