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紙の本
「伝える」むずかしさ
2008/03/03 00:42
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
野田秀樹は、えらい。
読んだ後、強烈に思いました。
以前にこの本に収録されている「売り言葉」を、
映像ですが見まして、今回戯曲に再会しました。
以前も思いましたが、これはえらい。
「売り言葉」は、大竹しのぶの一人芝居で、
純愛詩集とされる高村光太郎の「智恵子抄」に対しての、
智恵子側からの「売り言葉」を述べた舞台。
わたしも、学生時代、「智恵子抄」について、
「光太郎は智恵子を利用したんじゃないか?
そういうふうにこの詩集は読めるんじゃないのか?」
と思い、必死でレポートや発表をしたことがありましたが、
この舞台にはかなわないと思い、衝撃をおおいにうけました。
舞台で発せられる言葉は、
すごく「伝える」ということに直結していて、
だからこそとても難しいと思います。
ぱっと伝わらなければこわれてしまう。
目で追う言葉よりも、「伝える」という点では
シビアなものかもしれません。
そこんとこに対して、野田秀樹は、
謙虚に、かつ真摯に挑戦し続けているからこそ、
えらい、と思います。
「智恵子抄」に言葉を売った学者は、
たくさんいます。
それらももちろんすごいのですが、
それを人に「伝え」、心を動かす、という点では、
この野田版「売り言葉」にはかなわないのではないでしょうか。
あとがきで、心苦しそうに、野田秀樹は、
「ここに綴られたコトバは「残るコトバ」と名のっても良いですか」
と読者に問いかけている。
一読者からの答えです。
ブンガクとして残るかどうかはともかく、
わたしの心にはしっかり残っています。
これって、「残る」ってことになるんじゃないですかねえ?
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