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ニーチェからサンデル・ローティーまで、かなり平易な言葉で時代背景に合わせた思想とその世間への影響を書いてくれる入門書。
章末に、より深く知りたい人用に成書の案内もしてくれる。
最近読んだ国分功一郎の「暇と退屈の倫理学」でハイデガーに関して興味が湧いたが、戦前の思想家の考えも、時代変われどまったく古びていないことを改めて痛感した次第。
古典を知り、時代に合ったものに改変していくという作業は、我々の手の中にゆだねられていると考えたい。良書だと思う。
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哲学者達の思想や生涯をわかりやすく解説してくれるだけでもありがたいのに、読書案内までしてくれて哲学の入門書として申し分ない一冊。
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現代哲学の入門書。哲学者たちの思想を通して、資本主義や共産主義、社会主義の流れなども分かりやすく説明されている。
各哲学者に関する主要な書籍が紹介されているのが有難いと思った。知識を広げるための出発点として役に立ちそうな一冊。
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「はじめに」
この本で扱われるのは20世紀の哲学・思想。
20世紀には「二つの妖怪」が存在した。
一つはナチズム。
アーレントやハイデガー、フロイトなどが影響を受けた。
もう一つは共産主義。
西洋のインテリ(庶民ではない)の中に、清貧生活へあこがれをいだき、共産主義に理想を見いだすものが多くでた。
しかし、時代が下るにつれ共産主義や革命思想の「幻影」が消えてゆく。
ハイエクは「自然の秩序に下手に手を出すとやけどする」といい、ポパーは「他人を幸福にしようというおせっかいは危険」といい、アーレントは「貧乏をなくそうという革命は恐怖政治になる」という。
革命思想が消えた時に「正義」の哲学が登場する。
9.フーコー
(1)フーコーの人生と時代
1926年フランス、ポワティエに生まれる。
フランス随一のエリート養成学校、「高等師範学校」に入学。
高等師範学校時代に共産党に入党する(当時の文化人・知識人は左翼であり共産主義であることが普通とされた)が数年で離党。原因は同性愛?
その後、精神医療・狂気や監獄の歴史・性の歴史などの分野で多くの著作を残したが、1984年にエイズが原因で57歳で死亡。
(2)パノピティコンと福祉国家
フーコーの権力論で有名なのは、ベンサム(英)が考案した「パノプティコン(一望監視システム)」。
この発想をもとに、「われわれは今日、基本的にはベンサムが設計した社会に、一望監視的社会に、一望監視方式が支配する社会に生きている」と述べ、近代社会を分析。
現代の福祉国家の国家権力の巨大化を否定。
監視社会=悪という発想をもつが、フーコーはすべての権力を否定するわけではない。
=権力の関係自体は悪いものではなく、あまりに理不尽なやり方でなされると問題であるという立場。
後期のフーコーは「欲望を制御して立派な自分になる」ことを主張。
道徳の不在といわれる現代、宗教でも国家でもない、おのれを磨くための教師を古代のギリシアやローマの哲学者にもとめ「生存の美学」を追求せよと説く。
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それぞれの思想家の人物評が、ぶっちゃけたというか、身もふたもないというか、研究者としてはずいぶん思い切った物言いになっていて、ちょっとおどろいた。おかげで、おもしろくてわかりやすい。思想内容についても同様のことが言える。そして全体にシニカル。ラッセルの『西洋哲学史』をちょっと思い出した。
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著名な哲学者の考え方を概観するには凄く良い本。近所の哲学好きなおじさんからざっくばらんに話を聞いているかのような書き口が魅力的。
『世界を動かした哲学者たち』と併せて読むと、およそのメジャーな哲学者をカバーできる。