紙の本
日本語のセンスを磨こう!
2012/05/31 11:11
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
ことばの意味と語感を分かりやすく説明してあり、読んで楽しく、ためになる本。
この本で取り上げられた語彙、それぞれに納得のいく解説が施されており、取り上げられなかった語を使う場合においても、選択に敏感になれる。
「表現者の影」で扱われた川端康成の『雪国』の会話の解析には、ハッとさせられた。日本語では、He said や She said がなくても誰の発言かわかる。確かにその通りだ。
ただし、現在は『雪国』が書かれた時代とは違って、現実に即して書けば、男女の言葉遣いの違いはほとんどなくなりつつある。それゆえ、最近の小説や脚本の中では日常生活以上に男言葉と女言葉が現れ、現実に追いついてないとも言える。
読了後、日本語にある豊かな表現を忘れてはいないかと国語辞典(明解)を読み始めました。1日に1ページですが、発見の毎日です。
紙の本
例示はたくさん。で、結論が無い。
2002/08/01 00:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やすみつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「卓球」と「ピンポン」、「酔う」と「酔っ払う」、「死ぬ」と「亡くなる」などなど、意味する領域はほとんど同じでも、聞き手(読み手)の受ける印象は異なる。これを語感と言っているが‥‥。という内容。
例示が豊富でそれぞれはそれなりに興味深く読んだのであるが、その先、上記の「‥‥」の部分を期待したらほとんど無かった。だからどうだ、という結論があまり見えずに期待はずれ。
紙の本
書き手のために
2002/03/06 01:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本語の文章を書く時に重要なことは「同じ単語を続けない」ことであるという。「病気」と書いたら次は「病」と書く。こんな風に、一つの事実をいくつかの言葉で表現していくことによって面白みのある文章ができてくる。
日本語というのはこういうことに優れた言葉ではないか。事実は一つだけなのに、それを表す言葉がいくつもある。面倒と言えば面倒だが、その分面白い文章が書ける。ところが、この言い換えというのはやっかいな一面も持っており、事実は同じなのに言葉の選択によってずいぶんと読者の印象が変わってしまうことがある。「病気」と「病」くらいならそう大して変わらないが、「愛欲」と「獣欲」とでは確かに雰囲気が違う。「刑務所」と「監獄」でも、やっぱり違う。
それをうまく利用することができたなら表現力豊かな文章になるのだろうが、しくじると誤解を生んでしまう。全ての言葉においてその語感を把握するのは難しいが、せめてこの本に書いてあるくらいのことは覚えておきたいものだ。
投稿元:
レビューを見る
(私の表現力が、人様のそれをどうこう言えるレベルじゃないことは分かってます。それをあえて無視した感想〜)まず。この本のタイトル。「センスある日本語表現」を論じる本にしては普通すぎるのでは。
全体として、色々な言い回しを比較して、そこから受ける感覚の違いや、時代による変遷などを書き表した本。著者は色々カテゴリを分けてはいるけど、内容はちょっと散漫だなあと感じる。もう少し本としてのまとまりをつけて欲しかったかな。
あとは、感覚の違いを実感。1935年生まれの著者による、1994年初版(私が読んだのは1997年出版の第7版。これってすごいことのような気もするが、単に時代に合わせた推敲なのかもしれない)の本だから、ほとんど孫世代の私が2004年に読んで違和感を感じないほうがどうかとも思うけれど。良くも悪くも、言葉は変化するもので、時代を映すといえるのかもしれない。
で、タイトルに戻る。読み終えてみれば、「センスある日本語表現のために」はJARO行きとして、「語感とは何か」は何となく感じ取ることができるのではないかと思う。
「ふうん」ですむ本だけど、全く無駄とは思えない、微妙な位置に残る本だった。
投稿元:
レビューを見る
【触る】と【触れる】はどう違うか-普段、意識して使い分けていない言語の語感を、例を出しながらわかりやすく説明してくれる。
投稿元:
レビューを見る
言語行動の三つの要素、「人間」、「物事」、「ことば」から語感を分類しさらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、などなどを言及しながら豊かな言語生活を楽しむヒントを提供する本。らしいです。(07/10/28)
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
「語感」ほど、誰もが確信を持ちながら、逆に普偏的な説明の困難な言葉も珍しい。
感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。
本書は、言語行動の三つの要素、つまり、表現主体である人間、評現対象である物事、そして表現手段であることばから語感を分類し、さらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、語の用法や使用頻度などにも言及しながら、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供するものである。
[ 目次 ]
1 ことばのひろがり
2 語感とは何か
3 類義語の意味関係
4 表現者の影
5 対象の照り返し
6 ことばの体臭
7 語感の環境
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
共約不可能性、翻訳の不確定性、指示の不可測性という概念があります。ものすごく噛み砕いて説明すると、翻訳や指示は必ずしも一対一にはならない、というものです。例えば、「リンゴ」と言っても、人によっては真っ赤なリンゴを想像したり、ウサギ型の可愛いリンゴを想像したり、樹になっているリンゴを想像したり……と、送信者(話し手)と受信者(聞き手)との間には完全には一致しない「ズレ」がある、ということです。
爆笑問題カーボーイのリスナー投稿で、便意を催すことを「お知らせが来る」「天使を下界に放つ」等と表現した投稿者がいましたが、これも間接表現の一つと見ることができます。
この「ズレ」、著者は言葉にまとわりつく体臭のようなもの、と表現しています。本来的な意味を超えて付着しているイメージ。また、著者は、その「ズレ」=「語感」に着目して、様々な単語の使い分けについて解説しています。
がしかし、「語感」の違いを羅列しているだけで、その単語が使われるようになった歴史的背景や起源や解説が浅く、学問と呼べる領域にまでは達していないように感じます。ただ、「○○ということばは××というイメージをもっている」とだけに留まり、消化不良感が残ります。
タイトルの「センスある日本語表現のために」なんて、では実際どんな日本語表現がセンスの良いものなのか、どうしたらそんな表現ができるようになるのか等の方法論的展開が稚拙で、この程度の内容なら僕でも書けるのではないか?と思ってしまうこともしばしば(実際は無理だろうけど……)。
「ズレ」をうまく利用した日本語表現の活用法が書いてある本だと思っていましたが、そうではありませんでした。「ズレ」を研究するに留まり、発展型としての活用法は書いてありませんでした。
評価は甘めのAにします。
投稿元:
レビューを見る
2010年に発行された『語感の辞典』の著書中村明氏が書かれた本ということで興味があり購入。本書はこの辞典が発刊される16年も前に書かれたもので、辞典とは違い、覚え書き風に記されている。『語感の辞典』は私も(愛用とまではいかないが)時々利用している。辞典と併用して読むのも面白い。「一生懸命」と「一所懸命」、「ふるさと」と「故郷」など、知りたかった語感の違いに触れることができる。
それにしても、「ごはんにしますか、ライスにしますか」という店員のエピソードは、私も(著者同様)”きょとん”としてしまった。これは語感というより、その社会での”位相語”として理解されるべきだと思うが…。
普段何気なく使っている言葉を見直すのによい本だと思う。
投稿元:
レビューを見る
日本語の語感について、さまざまな例を取り上げて考察した本です。
ややとりとめのないエッセイのような書き方で、気軽に読むことができる本です。著者も「あとがき」に代わる最終章の中で、「漫筆 語感のはなし」といった調子で書かれた本だと述べています。内容はたいへんおもしろく読めましたが、やはり語感というものを、法則や理論の形にするのは、たいへんだなあと感じさせられました。