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職場で、なんのきなしに購入。
読み出したらおもしろい。二人とも変人だな。特に隈さんがおもしろい。建築の異端児って言う感じ。
(1)隈:液状化問題は、土木と建築の縦割りの世界の境界にある問題なのです。(p26)
法的にも宅地の安全性は建築基準法に一応規定はあるけど、ほとんど何も面倒みていない。結局、対策は、道路整備に併せてやるという土木的手法になった。やったのは、都市局にいる建築職。現場ではまさにうまく境界問題を解決しつつある。
(2)隈:「だましだまし」で復興を地道にやっていけば、その過程で新しい科学や技術が使えるようになり、一歩ずつ補強されていく。そういう方法でこのあぶなっかしい場所を現実的に使いこなしていくしかない。(p32)
この「だましだまし」は中庸を目指す自分の主義にぴったり。一気にだあっと直すのではなく、少しずつ時間をかけて、まとまったところから事業をした方がいいと思う。
(3)隈:何度も言いますが、集中させるか、郊外に広げるか、というのは全国一律の発想ではなく、すべてローカルで考えなければいけない問題だと思うんですよね。(p50)
コンパクトシティ、集約型都市構造というのも、なんか一律的にいわれると空疎な感じがする。実際の図面をみて、どう集約するのか議論しないと、そもそも集約するのがいいかどうかもわからない。
旧集落ごとに分散していてもいいじゃなかと個人的には思う。
これだけ、みそくそにいわれても、妙に納得する自分がちょっと怖い。相当自分も異端なのかな。単に一生懸命勉強しているだけだが、知らず知らずに崖っぷちにきているような気がしてきた。
参考文献。隈さんの『負ける建築』(岩波書店)、『新ムラ論TOKYO』。
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これからの『都市計画』と『住む』という事をしっかりと考えていくことが、これからの日本の復興への鍵へとなるのではないかと考えます。家への価値観を少し変わりました。
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コンクリートではなく、木造で都市計画を考えたら、もっと面白くなる。
理屈を超えた一種の泥臭い経験とのバランス。
人間はなぜこんなにエネルギーを使うのかを考えるべき。
いろいろ考えさせられる内容でした。
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震災の話に始まり、高層マンション批判、エネルギー問題。。そして最後は参勤交代のスゝメ。どこかの市長は船中八策とか言ってますが、過去の引用が目立つのは歴史の節目なのでしょうか。
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平易な会話という形を取っているが、建築という視点から近代の科学至上主義への懐疑というかわれわれが自然に対する謙虚さを失っていることを指摘している。
隈研吾さんのあとがきではカトリック論(反宗教革命論)に及んでおり、これも面白い。
お二人にはこの対談の続きとして日本のカトリックの最高権威のお一人、森一弘司教も交えた宗教論をやって頂きたいとも思う(同窓3人になってしまうが(笑))
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養老さんと隈さんの対談をまとめた一冊。震災を受けてこの手の題材は多数出版されているなか、この二人の対談に興味があり、一読。
震災、エネルギー問題から、都市計画、高層マンション、経済問題まで様々な事柄が「住まう」という視点から語られている。
対談形式なので読みやすく、共感し、学ぶことが多い。
特に自分自身が最近考える住宅の私有という感覚についての考察がよかった。(とは言え、私有を問題視している隈さんがスーパーハイスペックの住宅、間違いなくエネルギー依存している住宅を作っているんだからそこは切り離していいのかという疑問はある)
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負ける、だましだまし、というあたりがキーワードの、まさにこの二人らしい展開です。モンゴルのパオの中が公共空間、外がプライバシーの守られる場、という視点。それはそこでは当たり前でも、日本では驚くのです。そうした発想が、日本のヘイソクカンを打ち破れるかなと期待します。もちろん養老氏の参勤交代論で締め。
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大きく言いたいことは第1章の「だましだまし」という考え方と最終章の「参勤交代」という考え方だったと思う。
「だましだまし」というのは、全てに通用する一定の規律を押し付けるのではなく、その場その場にあったものを考えるべきだし、全て”例外”でいいんじゃないかって話。
「参勤交代」とは、都市に住んで’サラリーマン’となって働いている人は、現場感覚を忘れてしまうので、年に何週間か何カ月かは’サバティカル’のような時間を持たなきゃいけないってこと。サバティカルとは長期休暇。都市で暮らすだけでなく、地方や世界へ足を運んでその現場感覚を体験しようってこと。
つまりここで批判しているのは
20世紀的な都市計画であったり
気温一定という秩序がしみついた生活
一律の解決法を考える思想
復興に関して一律の整備を求めること
であって
そうじゃなくて
人間には適応力があるのだから、’絶対’を求めず、建築設計も街の復興もエネルギー問題も人の暮らしも「だましだまし」つまり「適材適所」に考え抜いてやるべきだよね!ってことだったと思います。
そんなことを震災のことや近代の思想の話、都市と山村、エネルギー問題、経済の話など多方面に触れながら話し切るという本でした。
具体的には
・岡山には限界集落が720もある=問題視ではなく、そこがいかに住みやすいかを示してるって考える
・限界集落をダメという考え=若者中心=アメリカの社会システム=住宅ローン=サブプライムローン問題=破綻した
・都市にもお年寄りが集まる場所があったらいいんだけど、それって人間が考えて作れるものじゃないから、山奥で自然環境の知恵を活かしながら生活している人を見習う
・エネルギーを捻出するのではなく、使わない方法を考える
などなど。
つまり、
面白い住まい方をどうやって見つけるかって聞かれたら
「参勤交代」しながら、自分の身体を動かして自分で知恵を見つけろ!と養老孟司氏は言う。
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この対談は自分の常識をひっくり返す、もしくは眞逆な発想や事実を示してくれ、参考になった。
興味を引いた内容
・日本の建築は、土地整備をする人と、建物を作る人が別々で、大局的にみている人がいない。建築も分業化され、個々が責任を負わない。
・コンクリートは中が見えないことで強固で安心なイメージがあるが、逆に手抜きの隠ぺいも可能である。頑丈なものは壊しにくいという欠点も持つ。
・サラリーマンとそうでない人とのメンタリティは全く違う。サラリーマンは損しないことしか出来ない。自分の任期中の期間でしか物事を見られない。
・サラリーマンとは、現場を知らない人の事を言う。
・モンゴルのパオは、その内部にこそ公共性があり、逆に外にこそプライバシーがある。日本は家にプライバシーがあると勘違いしたことで色々間違いが始まった。
・都市部では、環境の変化や経済状況により、賃貸物件を借り換えする方が良い。所有を始めると都市という生命体の流動性が失われる。
・マンション販売している人は、いざという時に飛び降りられないような高層階には住まないと考えている。
・エネルギー高騰や不足が生じると、ラオスやブータンのような自給自足生活(石油に依存しない)国が最先端国に変わる。
・教育とは向かない人にあきらめてもらうこと。
・木造建築の木は、100年以上平気に使われているものがあるが、逆に鉄やコンクリートは持たない。
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面白いです。
今の自分達の考えが「振れ幅が大きく」なってることにも気がつくし、だましだましって「グレーゾーン」でもあると解釈すると、それを排除しようとしてた昨今。「アッ」と思うところ満載の本でした。
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養老先生と建築家、隈研吾氏との対談集。東日本大震災の後の日本の街、都市のあり方や造り方を大きなテーマにしている。いろいろな話が繰り広げられるが、日本の建築界の近代、現代の歴史、また建物や不動産がどのようなシステムの中で作り上げられてきているかの一端を知った。「都市計画」というと今までは美しい、整然とした、幾何学的なというよいイメージだけだったが、「都市計画」とはある意味、政治とある業界にとって都合のよいものではないかと感じた。「都市」とは「街」とは本当は自然発生的に作られていくものが理想なのだろう。
一度できあがってしまった巨大なシステムの中で、このような震災が起こり、「さてこれからどうすべきか?」となったとき、このシステムでは「復興」はできないということがよくわかる。しかしシステムを作り替えられるかというと、計り知れない人間のそして組織の考え方の変換が必要だということも想像に難くない。お二人が唱えられる「だましだまし」という方法、生き方が必要なのだろう。
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建築においても、いかに頭の中が、経済に支配されているか考えさせられる。郊外一戸建、分譲マンションetc。
サラリーマン的発想では思い切った建物や、長い視点での都市計画はできない。
実体験として、“わかり”ながらみながら物事をすすめることの大切さ、逆に頭の中だけ、パソコンの中だけで仕事する怖さがわかる。
ユートピアは危険としながらも、大きな夢があるからこそ、現場という複雑でやっかいなものと折り合いをつけてゆく、勇気と活力が与えられる。
この本は、住まうことにも多様性や、流動性がもっと許容する社会があってよいといってくれている気がする。
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与太話である。インテリが自宅のリビングでくつろいだ感じ。
サラリーマンは全否定され、日本はダメで、石油塗れの現代にドロップキック、でも…
隈健吾のあとがきだけ読めば十分。
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養老先生、隈さんの視点が随所に記載されており、面白かった。震災後の日本人の暮らし方、価値観が記載され、特に、養老先生の田舎と都市の参勤交代のライフスタイルの提案に興味を惹かれた。これは、以前お会いしたロハスを進める日大工学部の機械科先生と共通するところがあった。
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建築って結構アバウトなんですね。気が軽くなりました。
現場主義、原理主義じゃなくて、というのに共感。
あと、カトリックの学校って、やっぱりいいのかな。娘にきちんと教育を受けさせよう。