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紙の本
何処までも続く運命の連鎖
2002/01/14 07:24
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投稿者:るじゅあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
機械的な世界の中で快楽を求める少年達。遠い昔からの運命。現実なのか? 幻想なのか? 真実をはっきり理解できないままに少年たちは進むしかない。
少しずれた世界が綺麗。未来の幻想小説、みたいな感じがする。
紙の本
選ばれた者はどうやって己のすべき事にたどり着くのか
2001/10/24 16:50
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投稿者:tousen - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去と未来と現在が入り組んで、夢なのか現実なのか、それはどうでも良いことなのか。記憶さえ自分のものであるかどうかあやふやな、自我のない自分。少年達の体は器でしかなく、実感できるのはリフト・オフの快感だけ。記憶や意識のデータは彼らに何をさせようとしてその生を選ぶのか。選ばれた者はどうやって己のすべき事にたどり着くのか。
淡い色合いなのに嗅覚をくすぐる、さらっとしているのに妙にエロティックな物語でした。
紙の本
行こうぜ、極楽……へ
2001/06/04 15:28
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投稿者:長野まゆみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯文はいつも、担当編集者がひねりだしてくれる。原稿を終わらせた時点で、すでにその小説のことを考える限界に達した本人としては、大変ありがたい。帯文まで自ら受け持つ著者もいると聞くが、私の場合は装幀画を描き終えて手を放す。
雑誌掲載後に、手を入れて単行本の作業が進むころには、たいてい別の原稿に取りかかっている。そのため、すでに脳へしまいこまれたデータはすんなり開かない。これらを再び開くには、新しく書くくらいの緊張状態が必要だ。
「千年王子」に登場する少年たちも、圧縮されたデータを怪しげな手段で解凍する。身体の一部がハードウエアと化した彼らは、記憶や意識を挿入される〈容れもの〉として生きている。
意識への組織的な介入だの、性別シフトによって男にも女にもなり得る生物だの、植物でも動物でもある両生類だのを、十年ほどかかって別々の小説に書いてみた(『テレヴィジョン・シティ』『新世界1st〜5th』『超少年』)。初期にはまだ、記憶がひとつのソリッドとしてあるような捉らえかたをしていたが、近ごろはもうそんなことは信じられない。
私の書く小説に登場する少年たちは、たいてい〈もの忘れ〉がひどく、何かを思いだそうとして生きている。だが、思いだす対象としての記憶が存在していたうちは、まだまだ彼らも呑気だったのだ。
「千年王子」では、少年たちの身体は細胞の乗り物でしかない。意識や記憶は一貫性も同一性も持たず、眠りから醒めた自分が、眠り落ちる前の自分と同じであるという前提は失われている。意識の連続も疑わしい。それは、今や現実においても感じる疑わしさだ。かたちよりも状態を信じる人に、是非読んでもらいたい。
ちなみにこのたびの本は窓つきカバー装で、帯文はあるが、帯はない。なかなか面白い仕上がりの装幀になっている。(2001.6.3)