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これまでの人生で、年上の人を好きになったことは二度。さすがに五十二歳ともなると、年上の女性を好きになることはないだろうと思うが、この『お鳥見女房』の主人公・珠世のような女性が目の前に現れたら、よろめいてしまうかもしれない。
この『巣立ち』はシリーズ第五弾である。
収録作品は、『ぎぎゅう』、『巣立ち』、『佳き日』、『お犬騒ぎ』、『蛹のままで』、『安産祈願』、『剛の者』の七篇。
シリーズの中で、一番ホロリとさせられた。他家の養子となる次男、妻を娶る長男、二人の息子と母の珠世とが通い合わせる情愛に胸が温かくなる。
一家に忍び寄る不吉な影も、珠世をはじめとする矢島家の人々の明るさが、吹き払ってしまう。
例えば珠世と久之助とのこんなやりとり。
「母上は変わりませんね」
「なにごとも良い方へ良い方へ考えようとしているだけです」
「そうは考えられないほど不幸な人もいますよ」-中略-
「ええ。なれど、良いことも悪いことも長くはつづきません。つづかないということがわかれば、きっと良い道が見えてきます」
あるいは、久太郎の妻となった恵以との会話。
「お姑さまは、どうしてそんなに、良いほうにばかり考えられるのですか」
「わるいほうに考えてどうなるというのです。為すべきことを為したら、あとは天にまかせるしかないでしょう。悩んで詮ないことを悩むだけとろう。愚痴を言ったり嘆いたりすれば、良うなるものまでわるうなってしまいます」
そして、『剛の者』の最後近くの珠世の言葉。
「いずれはだれもが朽ち葉の土となる身。なれば、華やいだひとときや心ときめく思い出があったほうが楽しゅうございます。」
たとえ、それが人には明かせぬ道ならぬ恋であったとしても、人生に彩りを添えたのであれば、珠世は黙ってそれを容認してくれそうな気がする。
『水戸黄門』の主題歌ではないが、「人生楽ありゃ、苦もある」。暗く、つらい日々があっても、生きていればこそ味わえる喜びがある。著者の諸田さんは珠世の言葉を借りて、読者にそう訴えているのではないだろうか。
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O 5 お鳥見女房
久右衛門の死。長らく矢島家の隠居として中心でいたひとなので悲しい。
賢次郎の想いもわかる。珠代、木戸番のお捨のようだ。
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好評シリーズも第5弾となり、本書最終話で、お鳥見ファミリーの一人が退場し、一つの時代が終わる。この連作が、単なるホームドラマではないことを、解説の縄田一男氏が指摘している。遠景に描かれている政争や時代の波が、この後、珠代一家にどう関わってくるのか、続編が待たれる。同時に、このファミリーがいつまでも珠代を中心に暖かくまとまっていくよう、祈っている。
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お鳥見女房シリーズ五弾。嫡男久太郎の婚姻の日が近づいていた。相手は、珠世の夫伴之助に苛酷な陰働きを命じた前老中水野忠邦に連なる家の娘、鷹姫さま。祝言の日までの心労、婚礼の場での思わぬ騒動、そして次男久之助も人生の岐路を迎えて──。家族が増えた矢島家では、喜びも増え、苦労も増える。姑となった珠世に安寧の日々は訪れるのだろうか。人情と機智にホロリとさせられる。いつも読んだ後、心がほっこりする大好きなシリーズです。
①お鳥見女房②蛍の行方―お鳥見女房―③鷹姫さま―お鳥見女房―④狐狸の恋―お鳥見女房―⑤巣立ち―お鳥見女房―⑥幽霊の涙―お鳥見女房―。諸田玲子オフィシャルウェブサイトには、「小説新潮」(3/22発売)・・・「お鳥見女房」シリーズの最終話、「来春まで」が掲載と記載が有りました。
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全然性格も身分が違う鷹匠の娘恵似に惹かれていく矢島家の長男久太郎 そして結婚
おめでたいお話 二人の結婚に恨みを抱く伊佐という娘が腹下りの薬を盛りに来るのも御愛想だな
矢島家の女主人珠代がピカ一だなおせっかい焼の登実がワサビだな
とかく面白いわ 一息に読んじゃった
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子供が成長していくことの、喜びと寂しさが丁寧に描かれている。家族と時を過す、というのはこういうことだな、と。
相変わらず、一話一話心を震わされる。
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シリーズ第五弾。
鷹姫さまこと、恵以が久太郎のもとに嫁いできて、家族が増えた矢島家。
一方、石塚家の多津に新しい生命が宿ります。
生まれてくる命もあれば、消えていく命もある訳で・・。
喜びもあれば悲しみもあり、明るい話ばかりではないけれど、何故か心がほっこりする。それがこのシリーズの魅力だと思います。
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源太夫の末娘の雪ちゃんがいじらしくて可愛い。
季節が移ろうように、親から子へと命が繋がり、家族の形も変わっていく。子どもたちの成長は頼もしくもある反面、少しの寂しさも。
遠い江戸の話だけれど、角を曲がれば弦巻川や鬼子母神が見えてきて、珠世さんに会えそうな気がする。
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しんみりしたり
クスっと笑ったり
ドキッとしたり
幼い子の心の葛藤にキュンとしたり
登場人物皆んなそれぞれ魅力的。
純粋で健気な恵以を応援したい。