紙の本
フォウの原点
2002/04/22 23:56
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投稿者:夏野涼 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、テレビアニメのZガンダムに登場して人気を博したフォウ・ムラサメが、カミーユ・ビダンと出会う前のムラサメ研究所でのエピソードを綴った物語だ。
1年戦争ですべての記憶をなくし、焦土と化した戦場を生き抜いてきた少女、フォウ。彼女はニュータイプ研究所のムラサメ研究所にひろわれる。そこでは人工的にニュータイプを作り上げる研究が進められていたのだ。“フォウ”とは被験者ナンバー004から付けられた名前である。なんとも悲しい。人を信頼せず孤独な少女は、そこでジルとアマリという2人と出会う。彼らもまた、被験者であった。彼らとは衝突しながらやがてフォウは心を開くようになる。しかし、悲劇は訪れる。再び一人となったフォウはサイコガンダムを駆って出撃する。
アニメで見せた優しいフォウの原点を垣間見ることができる。敵であるカミーユをかばい死んでいったフォウ。未来の戦争が生んだ悲劇のヒロイン、フォウの物語をどうぞ。
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記憶。
それは人の財産であり、足がかりであり、後ろ盾であり、拠り所でもある。
大切な記憶だけでなく、忘れたい記憶もあるだろうけど、
人はそれを背負い、踏みしめ、土台としながら歩んでいくのだと思う。
………
「ねえ、フォウ」
「なあに?」
「思い出はこれからいくらでも作れるって言ったね」
「ええ」
「その思い出……僕と一緒に作らないかい?」
………
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茂木さんにオススメされ借りた本。
むちゃくちゃ面白かったんですけど!
ガンダムシリーズ、おさらいしようかな。DVDでも。
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Zガンダムの悲劇のヒロイン、フォウ・ムラサメがカミーユと出会う前の物語。戦災孤児だった彼女がムラサメ研究所に引き取られ、強化人間として訓練を受ける過程がホンコン・シティ出撃の瞬間まで語られています。
4番目の被験者ということで、フォウと名づけられた彼女ですが、冒頭でキョウという名で呼ばれています。そして劇中で彼女が欲してやまなかった過去の記憶・・その真相が語られています。
あと驚きなのが、ミハルの弟が登場。
色んな驚きとともにフォウの哀しい背景を知らせてくれる本でした。
この小説の中に白いサイコガンダム(冷蔵庫)と赤いハイザックが出てきます。この2つを絡ませて名場面を作ろうかとも思いましたが、両者は絡んでいないので却下。でも簡単な改修とリペで作れそうなので機体だけでも作ってみましょうかね~。
余談ですが、彼女の不遇の最期に納得のいかなかった私はせめてゲームの中だけでも・・と、ロボット大戦では彼女を仲間にしてカミーユと共闘させるというのが常でした。それやっておくとシロッコに魂もってかれずに最後までカミーユ使えますしね。
その後、ファも加えた三角関係に発展していきそうですがまあそれはそれ。
個人的にはフォウの圧勝のような気がするので、ファにとってはあんまりよくなかったかもしれませんなぁ~・・。
などというどうでもいい考えをめぐらしたりもするのでした~
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カイ・シデンが出会った、ミハル・ラトキエの弟であるジルと、アマリ、そしてキョウ(フォウ・ムラサメ)が主な登場人物たち。
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ネタバレ 2001年刊行(初出1986年)。著者は機動戦士Zガンダム、機動戦士ガンダムZZのメインライターの一人。Zガンダムで忘れることのできないキャラクター、フォウ・ムラサメ。彼女がTV本編に登場するまでの前日譚を描いた本作。ファースト・ガンダムのあのキャラが須らく青年に成長して登場するのは心憎い。そもそもフォウが鮮烈なインパクトをもたらしたのは、ファーストで描いたニュータイプの輝かしい未来像を、戦争の道具としての人為的ニュータイプという位置づけで完膚なきまでに叩き潰したところにある、と後年思うようになっている。
映画版機動戦士ガンダム以降、富野作品は立て続けにTV放映、映画化された。そこで描かれるのは、状況や設定は違えど、立場、思想、経験、所属グループ、さらには恨みや妬み等の感情から、救いがたきディスコミに陥ってしまうという人の業(典型は伝説巨神イデオンとその映画版。戦闘メカザブングルがまだ薄い方)。そして、ガンダム続編でもやはりそうなのか、という印象を第一に植えつけたのが、このフォウである。理解し合えるはずだったニュータイプをディスコミの表れと描くΖガンダムという作品。
本ノベライズは、その彼女の過去(本編では失われた記憶)を具体的に見せることで、本編の悲劇をいやが増す作用を齎している。本編補完のノベライズでも本作が特異な位置にあると思う所以である。