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コバルト文庫から出ていた同タイトルが創元推理文庫から再刊されたもの。解説によるとかなり改稿されているらしいが、コバルト文庫版を読んだのがかなり昔なので、何処がどう変わったのかはっきりしない……。
確かコバルト文庫版には、『リリカル・ミステリー』(だったかな?)というアオリがついていて、確かに可愛らしい内容だな〜と思った記憶があるのだが、創元推理文庫版では少女たちのすれ違いや残酷さがクローズアップされていたように思う。記憶違いだろうか……自信がないw
コバルトから刊行されていた4冊の中で、再刊はこれだけらしい。個人的にはデビュー作である『白い花の舞い散る時間』や『盤上の四重奏』『楽園ヴァイオリン』も好きだったので、再刊が無いのは非常に残念だ。
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作品を読み終わってみればミステリーとしての構成の妙が見えてきて味わい深いものを感じますが、終盤に至るまでは何が謎として提示されているのか見出せずやきもきしました。
女子中、女子高におけるいじめや生徒間の確執など、かなりドロドロした面が描かれるので、少し読むのをつらく感じるところもあるかもしれませんん。
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孤独な学校生活を送る赤音。彼女を中心にそれぞれの少女の愛憎と友情が行き違う様子を描いたミステリ小説。
元々集英社コバルト文庫から刊行された作品なので、少女マンガ風なのはしょうがないとは思うのですが、それでもその度合いが濃すぎるように思いました。このあたりは単純に自分の好みの問題だとは思うのですが……。
その思いが強かったためか、登場人物たちの行動も理解しきれないものが多く見られました。特になぜ舞がそこまで赤音に固執するのか、一応本の中で説明してはいるのですがあまりにも抽象的すぎてついていけませんでした。他の登場人物にも同じことは言えて、なぜそこまでするの? という思いが強くミステリとして純粋に楽しめませんでした。
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中学時代、クラスの女子たちが休み時間のたびに、手を取り合い連れ立ってトイレに行くのが不気味で仕方なかった。
何人かで談笑しているかと思ったら、誰かと誰かが視線を交わしあい、急に口元を隠して耳打ちを始める姿にぞっとした。
気がつけばトイレに行くメンバーが微妙に変わっていたりして。
分裂と増殖を繰り返す「女子」という巨大な生命体に脅威を感じていた。
で、その生命体の新陳代謝からはじき出される者もいて。
「あたしの名前を赤音(あかね)だけに呼ばせてあげる」
その特別な権利によって友情を誓い合った中学二年生の春。
そこからいくつもの季節を巡る物語。
大映ドラマ(わかります?)のような少女小説。
おバカ男子にはなかなか解り難い世界ながらも、ひりひりとした感覚は伝わってくる。
ミステリ要素はなくても、著者は充分こういう世界を描けそうな気がするけれども、この「ごろっとした」異物感がいいのかもしれない。
物語の中心にある据わりの悪いプリズムが、多角的に照射された光をさらに乱反射させ、登場人物たちを不安定で歪んだ像として結ぶ。
本書は2005年にコバルト文庫から刊行された同タイトルの作品を大幅改稿したものらしい。
同著者の『星を撃ち落とす』は、物事の見え方や人物の印象は一元的な物ではないという日常の事実を、ミステリにうまく落とし込んだ近年の隠れた傑作だと思っているが、そこに連なる種はこの『春待ちの姫君たち』ですでに蒔かれていたようだ。
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購入。10代の少女の特異性こそがミステリだと思った。「あたし」と「あなた」が同一になっていて、そこで世界が完結していて。理解はできるけど共感は出来なかった。
自分が中学生だった時に読みたかった。
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儚い乙女の物語は往々にして甘いものだが、この作品はゲロ甘である。コーヒーに角砂糖は1個溶かせば十分であって、5個も6個も必要ないのだ。
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ミステリー??思春期の少女のお話。
きらいじゃないな。「鏡の中の少女」を思い出した。
少女ってすぐに分裂するな・・・。
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ミステリーというよりも青春小説といったところかしら。琴乃はいい子。思春期に覚えのある行動をしていた人もいるのではないかしら。わたくしにも覚えがあります。
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繊細な少女たちのミステリ。だけど儚い印象とは裏腹に、かなりしたたかな物語。直接陰惨な事件が起こるわけではないけれど、この年頃の少女の残酷さが突き刺さるような痛々しさを感じました。美しい少女たちは魅力的だけれど、とげがあるからこその美しさなのかも。
それでも後味はやわらかく穏やかで、それこそ春のようにほっこりとしました。挿入される物語もいいなあ。
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ドロドロしてて、今日の友は明日の敵、みたいな。なろうとしていたものになったけど、本物には敵わなかったみたいな。
百合感抜群の中学から高校へ至る女の子たちの想いってやっぱり混沌としてるなぁ。『星を撃ち落とす』もそうだけど、コバルト出身もあって、少女マンガチックで、とても怪奇な空間が広がってる。初期の桜庭一樹作品みたいな雰囲気を感じました。あと、『悪魔のリドル』みたいな。
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友情はこんなにも深くて、痛い。
ミステリー、かもしれない。なんか、痛々しい。でも、わかる気もする。お互いの特別になりたいために、動けなくなる。でも、ここまで本気で誰かとの関係を作ろうとか、誰かのために動こうと思ったことないんじゃないかな。
元々持っている能力が高いために成長出来ていなかった舞と、それをわかった上で上手に付き合っている琴乃さんが好きです。
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共に歩む者
中学生の頃というのは自我が膨れ上がる時期である。
親友というものに重きを置き、その者が自分を裏切ることを決して許さない。
「特別」を大事にし、それが自分自身の価値であると考えるのだ。
主人公の赤音は春来から「名前を呼べる権利」をプレゼントされる。
二人だけの特別な時間、間柄。
しかしそれは外部の者によっていとも容易く壊れてしまう。
赤音は彼女らの幸せを壊した舞を許さないし、春来のことも許さない。
しかし舞は彼女らの関係を壊そうとしたわけではないのだ。
それに赤音は気づかない、いや、信じないし拒否し続ける。
そしてまた二人だけの閉じた空間へ......
友情とはなんだろうか。
愛あるいは憎しみに変化することもある、不安定な関係だ。
痛みなんてものはこんなものじゃない、と赤音は叫ぶ。
だがそこに他者に対する痛みを考える余裕はあっただろうか。
悲劇のヒロインとして閉じこもる手助けではなく、痛みの先にあるものまで見据えて、共に歩んでいくものこそ友。
赤音は大切なものと引き換えにそのことを知る。
それは決して悲しみだけではない。
やっと自分と向き合うことができたのだ。
そして、誰が自分を愛し、助けていたのかを理解できたのだ。
本書は交錯する人物像に惑う。
読者は惑って迷って、つかまえた真実がどこに繋がるかを見届ける。
思春期ならではの感性が瑞々しくも痛々しく心に残る。
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作中に出てくる劇に沿って話が展開していく。 二度読みしてやっと全貌が掴めた。 男性登場人物は主人公の兄くらいしか出てこないが百合物ではなく友情がテーマ。 親友を独占したい、親友と二人だけの世界を邪魔されたくない、思春期の少女にはありがちだと思う。その世界が誰かの些細な介入で簡単に壊れてしまうのもよくある。学生時代を思い出した。 彩の行動は赤音を救うためとはいえ、やりすぎに感じたので最後のどんでん返しはあまりしっくりこなかったなぁ。