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製鉄と炭坑と博打で栄えた街(本文まま)北九州を舞台に、人間本来の欲望がこれでもかっ!と描写されてるが、読んで苦痛を感じる事は(暴力場面は別にして)あまりなく、主人公のオレが這いずり廻り、また、のるかそるかの行動に爽快感さえ感じてしまった。あっという間に読み終え面白かった。幽霊の噂話が出てくるがもともと作者がホラー系の作品を書いている関係だったようで、そこはご愛嬌ですね。
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著者の福澤徹三さんは、東京FMの「東京ガベージコレクション」と言う番組で、よくネタにされている方です。写真が待ち受けとして配信されていたり、平山夢明のブログに写真が載っていたり(http://hirayamagumi.blog73.fc2.com/blog-entry-298.html)で、いわゆるコワモテだっりするんですね。
こんなに怖い外見で、でも性格はキマジメだという方が、どんな本を書いているのか知りたいというのが手に取ったきっかけでした。『すじぼり』と『真夜中の金魚』の2冊読みましたが、どちらかというと『すじぼり』の方が好きかも。どちらもヤクザが出てくる青春ものという点で共通しています。
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朝は早起きしてパチンコの打ち子のバイト。夜は安いクラブのバーテン。家は女の部屋に居候。
絵に描いたようなチンピラ暮らしのおれに、パチンコ屋の店長の失踪を皮切りに次々とトラブルが押し寄せる。
奥付をみると執筆は2003年。この著者の゙すじぼり゙は2006年だから、すじぼりの前身のような位置付けか。
すじぼりでもそうだったけど、展開が上手く映画のように読める一冊。
またこの作品もキャラクターの立ちっぷりがすごい。書こうと思えば登場人物全員分のスピンオフがすぐ書けそう。
そしてそれを書かないところが偉い。まぁ初出の時点でそれほど売れなかったって事情もあるんだろうけどさ。
好きな作家なので若干甘め評価だけど、ちゃんと面白いのでぜひどうぞ。
ちなみに作品の舞台になってる北九州を知ってる人はより楽しめるかもです。
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掴み所がない気もするが、飽きずに最後まで一気読み。
あらすじ(背表紙より)
ツケを払わん奴は盗人や。ばんばん追い込みかけんかい!社長が吠えたその日からバーの名ばかりチーフのおれの災難は始まった。問題の客は明らかにその筋の匂いがし、お目当てのホステスはおれが密かに同棲している女ときた。そこへ現れた昔なじみが取り返しのつかない出来事に結びつくなんて、あの時は思いもしなかった―。北九州のネオン街を疾走する男たちの生き様を描く異色の青春小説。
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チンピラ小説であり、青春小説。福澤さんの描く物語は、なんとも瑞々しい。
どうしようもない主人公のおれ(なぜか最後まで名前が出てこない)は、どうしようもないながらも、やるときはやる一面も持っていて、ついつい応援したくなってしまう。
また、登場人物はみなキャラが立っていて、文章も読みやすく、内容も面白い。読み手を飽きさせることなく、笑いながら、ハラハラドキドキさせながら、時にはホロリとさせながらラストまで連れて行ってくれる。
『すじぼり』と似たテイストなので、この物語が好きな人は、ぜひそちらも読んでみては。
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“侠飯”シリーズが面白いから、それ以外も読んでみようと手に取りました。『東京難民』(2013)の原作も同著者だと今さら知る。なるほど、ヤクザも出てくれば、『東京難民』で見た光景も広がります。
主人公の「おれ」は、北九州の歓楽街のバーで名ばかりのチーフを務める25歳。ぼったくりバーよりはマシな程度の料金設定の店。ツケ払いの客からカネを回収しようと督促の電話を入れたところ、その客はヤクザだった。しかも奴のお気に入りは、おれが同棲中のホステス。人を殺すことを屁とも思っていないような奴相手に、おれはどうすればいいのか。
この「おれ」を含めて、出てくる男の大半がろくでなし(笑)。パチンコ、麻雀、競馬、ドラッグと、専門用語の連発は知らない者にはツライ。そこの部分はついていけないところ。しかしぼったくりの方法や闇医者の実態、ついでに亀頭に玉を入れる方法なども書かれていて、なかなかに目からウロコです(笑)。俳優ばりの男前ながら、在日ゆえに差別を受けてきた友人とのやりとりにも惹かれます。持つべきものは友だち。
木下半太からドタバタ感を減らして痛さは増やし、格調高く、適度に下品に、ハードボイルドにしたイメージ。あ、格調高くなんて、木下さん、すんません。でも木下さんも大好きです。
映画『東京難民』の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/ca47be341272b90cdf4fa8c290c8bc3c