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紙の本
お寒いのはお好き?
2011/03/06 22:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
南極が舞台の大きなニュースがあったとか、自ら興味を持って調べ
たりしないかぎり、話題になることもないだろう。
南極大陸という所は、知れば知るほど奇妙な所である。
・氷の下に琵琶湖の22倍ほどの大きさの湖がある
・場所によっては、氷の厚さは富士山の高さなみ。
・氷の下に2400メートル級の山脈がある
などなど。
この本では、南極大陸自体の紹介、その観測の歴史、そこに住む生き物達の紹介がされている。
しかし、話がかけ離れてすぎているため、一つ一つの事実は興味深いが、今ひとつ、ピンとこない。
「マイナス50℃」と言われても、どれほど寒いか、想像もつかないのだ。
「絶対零度」がマイナス273.15℃だから、とんでもない寒さなのだろう。(体験したくないが・・・)
しかし、コウテイペンギンのように、そんな世界を住処としている生き物がいる。
生物の逞しさには、感心というより、あきれてしまう。
(「知的」という事にこだわらないなら、「地球外生命体」は、ほぼ間違いなく存在するだろう、という意見には十分、説得力がある気がする)
ちなみに南極の気候の厳しさを感じたいのであれば、「南極点征服」(ロアルド・アムンゼン)「世界最悪の旅」(アプスレイ チェリー・ガラード)がいいだろう。
前者は南極点到達一番乗りを果たしたアムンゼンの記録、後者は、タッチの差で敗れたスコットの記録である。
実際、スコットはアムンゼンに遅れること、わずかな日数でしかなかったが、天候がまるで違うのである。
わずかの間に、恐ろしいほどに姿を変える南極の様子が垣間見えた。
この天候を目にしてスコットが日記に書いた一文が印象的。
「神よ、ここは恐ろしい所です。
十分に備えをしたものには、恵みを。そうでない者には・・・」
現在の観測隊は、アムンゼンやスコットの頃とは比べ物にならないほど進んだ装備のため、(ある程度)快適にすごせるようになっている。
だが、基地の外の気候は、変わりがない。
油断をした者には、とことん厳しくあたる自然がそこにある。
南極観測隊や南極そのものの様子は、もっと多くの人たちに知ってもらいたい。
こんなに面白い場所は、地球上にそんなに多くはないと思う。
紙の本
地球最後の秘境、南極について、分かっていることを広く簡潔にまとめた南極入門書
2012/03/11 22:59
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
南極。2000メートルを超える氷の下に眠る大陸は、その余りの氷の重さから、標高を平均するとマイナス150メートルになる、と言う。雪と氷に閉ざされた、平均気温マイナス40℃の、地球最後の秘境。そこは、地球環境を知るための格好の観測所でもある。日本を始め30カ国以上が基地を設けているのはそのためだ。
南極の氷には、氷ができた時の空気が封入されている。だから、南極の氷を調べることは地球の過去の環境を調べることにもなる。オゾン層の破壊を示すオゾンホールは南極で最大の大きさになる(なぜ人口のほとんどが集中している北半球ではなく、南半球の南極でオゾンホールができるのかもきちんと説明されている)。地球が温暖化すれば南極に降る雪が増えるため、その規模を知ることもできる。
環境に加え、南極ならではの大発見もある。氷の奥深くに眠るボストーク湖(最近、ロシア隊のボーリングが湖に到達したらしい)、大量の隕石(中には火星からの隕石も含まれる)がそうだ。なぜ南極で大量の隕石が発見されるかは本書に譲るとして、発見につながるメカニズムは確かに南極ならではと思わせてくれる。
こうした環境面、科学面の発見を一通りなぞっていることに加え、越冬隊員たちの生活や、南極を訪れる方法についても触れているので、まさに南極に関する様々なことを一堂に集めた観がある。南極の魅力を見せるのに成功している理由に、著者が観測隊員として何度も南極の地を踏んでいることもあるだろう。記述が活き活きとした魅力に溢れている。
地球環境や、南極に興味をもつ方はきっと楽しめることだろう。
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