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この本はアメリカ・オレゴン州にあるマクラーレン青年更生施設で行われているドッグ・プログラムの3ヵ月を追いかけたものです。受刑者と見捨てられ、虐待を受けた犬たちとの交流が胸を打ちます。
僕はこの番組の存在を知りませんでした。元になったテレビ番組はアメリカはオレゴン州にあるマクラーレン青年更生施設を舞台とし、そこに服役している受刑者と、虐待を受けたり、見捨てられた犬との飼育・交流を通して更生を図る「プロジェクト・プーチ」というプログラムを受けた受刑者とその犬たち追った3ヶ月のドキュメンタリーを書籍化したものなんだそうです。解説によるとアメリカにおける再犯率が実に5割を越える中でこのプログラムを受けた受刑者の再犯率ゼロを記録し続けているのだそうです。
僕がこの本を手に取ったきっかけは受刑者を更正するのに以前の飼い主から飼育放棄を受けたり、虐待を受けた犬をパートナーにしている、というところかもしれません。ここでは名前を伏せますが、ある有名な方のところで育てられている犬が、かつて虐待を受けていたこともあったかもしれません。もちろん、今ではその犬は飼い主の手厚い保護を受け立派に走ったり表情豊かな姿を見せて私たちを和ませてくれます。
話はそれましたが、犯罪を犯し、地域や社会に見捨てれた受刑者たちが厳しい試験や面接を潜り抜けて、パートナーとなる犬と出会い、なかなか自分の行っていることを理解しない犬にいらだちながらも、彼らと向かい合うことで自らも忍耐を学んだり、社会の中で関係性をはぐくもうと悪戦苦闘する姿が好感をもてました。あと、ここでは受刑者たちの家族にもスポットが当てられており、受刑者の存在をもてあましていたり、また塀の中に彼らがいても、変わらずに愛情を注ごうとする家族がいたりと、それぞれの受刑者たちの異なった事情はあっても、このプログラムをやり遂げることによって自分に自信を持った受刑者がいかにそれを人間の中で応用してこうとしているのか?詳しいことは本書に譲るとしても、この取り組みには興味深いものがありましたので、よろしければごらんになっていただけるとありがたく思います。