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「伊藤雅俊」・・・1956年に現在のイトーヨーカ堂の前身となる洋華堂を立ち上げ、1958年に株式会社ヨーカ堂を設立する。イトーヨーカ堂、セブンイレブン、デニーズなど70数社のイトーヨーカドーグループの創業者として活躍。現在は株式会社セブン&アイ・ホールディングス名誉会長としてその手腕をふるっている。
この本は、上に挙げた伊藤雅俊氏の「経営の原点を考える」という視点で、氏の経験に基づき、商売における「気持ち」の部分を軸として「商いの道」を説いている。数多くの成功と、それと同じくらいの苦労を重ねてきた氏であるからこそ、商売における心構えはリアリティに溢れており、まさに先人からの教えといった内容だ。
特に印象に残った部分は、「商人は知恵に生きる」(p126~129)の部分で述べている「商人が漢字や難しい言葉でものを考えるようになると現場から遠くなっている」という氏の持論だ。氏曰く、ある程度会社が大きくなってくると、同業の経営者などとの会合が多くなっていく。すると、不思議なことに漢字や難しいことばが随所に出てくるようになる。つまりは現場から離れていっている、ということを示めしている。「現場の生の声を」といったキャッチコピーはよく聞くが、氏もよき経営者のなるためのひとつのものさしとして本の中で挙げている。お客や社員と日々接し、成功と失敗の織りなす中で得た知恵があってこそ、それを現場に投影し、実践できるのだと。これは経営者だけに言えることではないと思う。現場で得た知恵は、要は創意工夫である。私はネットカフェでアルバイトをしているが、接客やお客様に常に快適な時間を過ごしてもらうための知恵を現場で身に付け、それを実践できるように努力し、工夫しようと、この本を読んでからそう考えられるようになった。
しかし、氏の商売人としての原動力の一つとして、この本の前半に語られている、氏の母の苦労話や、兄が弟である氏のためにそれこそ死にもの狂いに働き、急逝してしまうエピソードがあるが、このバックボーンは大きすぎる。こういった経験をした氏だからこそ、ここまで商売に対して貪欲になれたということもあるだろう。「この人は特別だから」という見方もできるかもしれない。だが、氏は「人として」という観点の元に内容を述べている。誰もが実践できるのだ。
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ボクは特に商売をしている身でもないし、こういう類いのビジネス本はあまり好きじゃないし、ほとんど読まないのだけど、知り合いの商売人のひとが面白いと薦めるので読んでみた。
ビジネス本なんてなんだか説教臭いし、本読んで仕事がうまくいくとは全く思えないので、敬遠してたのだけどこの本は面白かった。
著者の伊藤雅俊氏はイトーヨーカドーの創始者です。
前半から中盤までは商売人として生き抜いてきたその苦労や教訓を説いていく内容でそこまで引込まれていくことはないのだが、後半部分のあたりからが面白くなっている。
いかにも昔の商売人らしく、終始腰の低い謙虚な語り口で誰にでもわかりやすく書かれてあるのも読みやすかった。
この本は2001年に初版が出されてからの改訂版なのだが、2011年の現代の世界経済のことを結構言い当てていて、例えば当時は好景気にわいていたアメリカの経済が10年後の今には傾いていくことだったり、日本の製造業が新興国の隆盛によって衰退していくことであったり、とても興味深い。
ほかにも東京の物価が地方と比べて高くなる理由や、日本の銀行が金融庁に保護されてきたためにおきている弊害など、面白い話がたくさん書いてあってとても勉強になった。
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2012年8月に読んだが、再読。
経営者のみならず、あらゆる社会人が読んでもためになる本。あれほどの大グループを育てているが、多くのカリスマ経営者のように表立ってマスコミに登場したりしない謙虚さ。その人柄の良が本著に存分に表れている。
母親と亡き兄の話は胸を打つ。小さい頃に苦労しているからこそ、お金を稼ぐ有難みがわかるのだろう。土地や株で安易に投機に走らない姿勢におおいに共感するが、現在の金融リテラシーからすれば古くさいと思われているのだろうな。
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イトーヨーカ堂の創業者の故伊藤雅俊さんの経営論の本です。原稿が書かれたのは、今から15年前なのですが、今でも新鮮さを失わない内容が驚きです。
根底にあるのは、商人は本質的に安易な方向に流れないたり、無用な贅沢をしないといったストィックかつ感謝の心を持っていきなくてはいけないとの価値観だと思います。
これだけの成功をした人が「地位とお金は誰もが誰もが欲しがるが、それだけを目的に成功した人はいない」と断言されているのは意味深い内容に思います。
他にも成長より生存を考えよ、「攻めではなく守りを重視しろ」の考えもビジョナリーカンパニー等の経営書にも書かれている事であり日米ともに発展した企業にあるのは、創業者の確固とした考えである事が実感されました。
現在の日本が行き詰まり始めているのは、成長する事自体が目的となりすぎたからではないでしょうか。
本書を読みまして、そもそも企業とは何の為にあるのか、何の為にこの商売をしているのか原点に帰る事が、行き詰まりを見せ始めた今の日本経済を根本的に立て直す、第一のステップに思われました。
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イトーヨーカ堂の創業者の故伊藤雅俊さんの経営論の本です。原稿が書かれたのは、今から15年前なのですが、今でも新鮮さを失わない内容が驚きです。
根底にあるのは、商人は本質的に安易な方向に流れないたり、無用な贅沢をしないといったストィックかつ感謝の心を持っていきなくてはいけないとの価値観だと思います。
これだけの成功をした人が「地位とお金は誰もが誰もが欲しがるが、それだけを目的に成功した人はいない」と断言されているのは意味深い内容に思います。
他にも成長より生存を考えよ、「攻めではなく守りを重視しろ」の考えもビジョナリーカンパニー等の経営書にも書かれている事であり日米ともに発展した企業にあるのは、創業者の確固とした考えである事が実感されました。
現在の日本が行き詰まり始めているのは、成長する事自体が目的となりすぎたからではないでしょうか。
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イトーヨーカドーの創業者の方のお話です。今の感覚で言うとちょっと古めかしいところもありますが商売の根本というところで参考になると思います。やっぱり感謝の気持ちは大事ですね。